未来の姿を関係者が共有
トラックドライバーの時間外労働960時間上限規制が4月から適用され、物流の「2024年問題」は、物流の「持続的成長」を実現するべく課題解決に向けた新たなステージに入った。
業界関係者や行政の発言からも24年問題は物流の革新に向けた「新たなスタート」との認識を深めており、サプライチェーン全体で物流革新に取り組む機運は高まっている。
国の政策パッケージのもと、予算措置や法制化への動きが着々と進行するほか、トラックは運賃水準を8%引き上げた新たな「標準的な運賃」や、トラックGメンの監視体制など、取引適正化への措置も進む。やるべきことはより鮮明になり、事業者が前向きに物流革新に臨む下地は整ってきた。
喫緊課題への対応とともに「持続的成長」には政策パッケーにも示される物流標準化・DX、さらにモーダルシフトや「自動物流道路」など中長期的な取り組みにもしっかり目を向けたい。
「自動物流道路」は10年後の実現を目指し今夏にも選定ルートを含め中間とりまとめを行うが、3月28日の検討会では物流事業者(ヤマト運輸、日本通運)から活用に前向きな意見が聞かれ、JR貨物からも貨物鉄道との結節点を設けるなど連携に積極的な意向が聞かれた。
モーダルシフトは10年で倍増を描く。日本物流団体連合会(物流連)は新年度からモーダルシフトの公表・表彰制度で荷主も表彰対象とするなど規程を全面改正した。荷主との連携が不可欠との物流事業者の要請を受けたもの。政策パッケージにモーダルシフトを強力に推進することとされており、部門賞など表彰体系も大幅に見直している。
物流連の真貝康一会長は3月26日の理事会後の記者会見でモーダルシフトについて、「1つのモード完結ではなく、モーダルコンビネーションの最適解が求められる。物流にスポットライトがあたり、課題も明確になり、物流連の果たすべき役割は今まで以上に大きい」との認識を示す。
物流連はこの間、若い人材を受け入れる魅力ある業界へ「物流業界を等身大で見て頂くための施策実行・発信力強化」に注力してきた。
物流業界が一丸となり、荷主に消費者も巻き込んで連携・協力し、「モーダルコンビネーションの最適解」を全員で追及する。そのためにも未来に向けた物流の姿をしっかり関係者が共有することが大事だ。