標準的な運賃の早期適用を
小売りの月次動向からは緊急事態宣言の解除により売り上げの減少幅は緩和しているが、先行き予断を許さない状況が続いている。
日通総合研究所によると、国内荷動き指数の4-6月期速報値はマイナス65と、リーマン・ショックの影響を受けた09年1-3月期のマイナス75に迫る。すべての業種が2ケタのマイナス。設備投資関連の低調が続けばさらなる悪化要因も重なる。
日通総研の見通しでは今年度の国内貨物総輸送量は前年度比7%弱減で、09年度の6・0%減よりも悪化する。トラック輸送は全品類の不振を受け、7・4%減と2年ぶりのマイナス見込みだ。とくに上期は12・3%減と大幅な落ち込みとなる。
このまま物量の減少が続くと、とりわけ中小が大半を占めるトラック運送業の経営はさらに厳しくなる。新型コロナウイルスの影響長期化を踏まえ、国は必要な追加施策を躊躇なく打ち出してほしい。
国土交通省は新型コロナによる物流の影響を調査・公表しているが、トラック運送業の6月運送収入は平均11%減だった。5月の15%減より減少幅は改善も2ケタ減が続く。見通しでは平均値は7月9%減、8月8%減と改善も「20%以上減少」の割合は6月よりも7、8月は増える。扱い品目によっては改善も見込めず正念場である。
同調査では持続化給付金など資金繰り支援を給付・申請済とした事業者が全体の33%、雇用調整助成金は27%である。支援策の周知とともに、いかなる事業者もスムーズに活用できるような環境整備も大事だ。
荷主からのキャンセル金額も同調査では3月が底となっているが、引き続きキャンセルは発生している。
こうした中でトラック運送業は4月に告示された「標準的な運賃」をいかに活用し、適正運賃収受の取り組みを堅守していくかが、経営安定化へ必然である。
各県トラック協会の総会などにおいても、標準的な運賃の周知策を検討していく方向を確認している。月内にも活用に向けたガイドラインが示される運びだが、同時に荷主へのアプローチも徹底しなければならない。
「ホワイト物流」推進運動への賛同表明件数が1000を超えた。サプライチェーン全体でトラック輸送の生産性向上、物流効率化へ問題意識を共有していく気運にある。こうした流れを止めず、「標準的な運賃」も早期の適用が実現できるよう、荷主への働き掛けが必要だ。