燃料価格高騰を懸念
国内景気は外需主導のなか、内需の持ち直しが期待され、回復傾向が続くと見込まれている。だが、景気回復の恩恵にあずかっているのは大手企業などで、中小企業は苦戦を強いられているとの声を聞く。
全国中小企業団体中央会(全国中央会)が22日発表した、10月の「中小企業月次景況調査」によると、売上高DIは運送需要が増加するなか、大手運送業者の値上げ発表が追い風となり、運賃・料金の改善が進み、改善した。一方で、慢性的なドライバー不足や軽油価格の上昇が影響して、景況DIと収益状況DIが大きく悪化していることがわかった。
全日本トラック協会がまとめた今年7―9月期の景況感調査結果によると、トラック運送業界の景況感は3期ぶりに改善したが、10―12月期は再び悪化する見通しとなった。一般、宅配、特積みの全ての事業形態で輸送数量が減少する見込みであるほか、労働不足感が強まるためだ。
7―9月期の運賃・料金水準は、いずれの業態も前年実績を上回り、実働率も改善した。ただ、労働力不足感の指標は81・5と高止まりで推移し、10―12月期には95・5へと不足感が強まる見通しだ。
トラック運送事業者は、10月の状況について「運転者・作業員の不足が顕著で、仕事の依頼はあっても請けられない状況」で「運賃は上昇しても、コストが増加しており、収益状況・景況は悪化している」と説明する。
深刻化する労働力不足に加え、燃料の軽油価格が急騰していることが景況や収益状況に大きく影響を与えている。
資源エネルギー庁が22日発表した石油製品の店頭小売価格週次調査によると、20日時点の軽油価格(税込み)は前週より1・8円上昇し、118・1円となり、10週連続で値上がりした。前年同期(16年11月21日時点)の104・8円と比べると、13・2円も高騰しており、経費上昇につながっている。
全日本トラック協会が実施した景況感調査は、トラック運送事業者を対象にし、10―12月は悪化する見通しだ。一方、全国中央会調査は、中小トラック企業の「協同組合」が主な調査対象で、10月の悪化は、全ト協調査を裏付けた格好だ。
全ト協がまとめた、今年10月の月別軽油価格(消費税抜き)は、前月比3・45円値上がりの86・51円(ローリー価格)で、前年同月と比べ12・58円も上昇している。カード価格は税抜きで90円を突破した。これ以上価格が高騰しないことを祈りたい。