物流効率化と地域活性化を
ヤマト運輸と北海道開発局が連携協力協定を締結した。物流の確保をはじめ、道路交通の安全性、災害時の情報共有など広範に連携する。道の駅を中継拠点とした実証実験に着手する考えで、物流効率化と地域活性化を実現させる新たな方策が期待される。
北海道は強みである食や観光を戦略的産業とし、提供する地域を〝生産空間〟と位置付け、これを支える取り組みを重点的に進めている。
物流はトラックドライバーの担い手不足にEC市場の拡大で多頻度小口配送が進み、一段の効率化が急務。荷主の理解を促し、物流を止めない危機回避への働き掛けが進められているところだ。
こうした中で北海道は人口減少とともに、他県とは距離感の異なる広域分散型の地域構造にある。いわば物流維持が〝生活空間〟の生命線ともいえる。物流が持続可能でなければ北海道の魅力である、食や観光の提供に大きく影響する。トラックドライバーの長時間労働の是正なくしては解決できない問題だ。
時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」も控え待ったなしの状況である。実証実験は道の駅の特性を生かし、物流事業者同士が連携した中継輸送拠点化の可能性を検討するもので、取り組み状況等広く共有したい。
物流維持の課題解決では、とくに地方の買い物弱者、過疎地域への対策が急がれる。
ドローンを活用した過疎地における物資配送の実証実験が各地で行われ、実用化への課題・対策も鮮明になってきた。様ざまなツールを活用しながら持続可能な物流の提供につなげていきたい。
データ連携もこれを推し進める重要なファクターだ。
SIPスマート物流サービスの社会実装に向けた取り組みが着々と進展しており、実用化へ新たな段階に入っている。昨年コンビニ大手3社が都内で行った共同配送について、今年度は地方部において買い物困難者、過疎地対策も視野に行う考えであり注視したい。
全国の高齢者の多い地域では、地方自治体と物流事業者が連携し、買い物支援や高齢者の見守りなど地域の安心・安全に向けた取り組みを行う例が広がっている。
さらに地域活性化へ地場産品の支援など双方リソース、ノウハウの連携による多様なサービス創出への事例も聞かれる。これからの地方創生に向けても持続可能な物流システムの果たすべき役割は大きい。