物流効率化へ強固な連携を
全日本トラック協会が行った2024年問題対応状況の調査によると、運送事業者の約3割が改正改善基準告示で「守れていない基準がある」と回答した。原因には、長距離輸送が最も多いが、次いで荷待ち時間、荷役時間の長さを挙げる。
改正物流法が4月1日に施行され、すべての関係者に荷待ち・荷役時間の短縮など、物流効率化への努力義務が課せられる。同調査では、荷主企業の改正物流法の認知度は約6割だが、「内容を理解している」のは4分の1にとどまる。
改正法施行に先んじて国が示した「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」も、荷主の約6割が認知するが、「内容を理解している」は4分の1。ガイドラインに基づく業界毎の自主行動計画に至っては、約6割が「知らない」と回答している。
これら改正法やガイドラインに掲げている、荷主の取組事項で最も関心が高いのは、「運賃・料金の値上げや物流コストの可視化」で、次いで「荷待ち・荷役時間の削減」となっている。
荷主側も物流を止めず、コストの上昇で厳しい環境にある運送事業者との交渉に動く。運送事業者への同調査でも、24年問題で良い影響と回答した最も多い事項が「運賃・料金の引き上げ」である。価格転嫁は希望通りではなくとも、改善していることがうかがえる。
一方で、同調査において、荷主の荷待ち・荷役時間の削減については、「積極的に取り組んでいる」15・7%、「ある程度取り組んでいる」36・9%、「今後取り組む予定」8・7%と、約半数は取り組む意向だが、「取り組む予定がない」も約3割が回答している。
運送事業者側も24年問題の荷主への説明で、「全ての荷主に説明」が46・6%と半数に満たない。確実に交渉を進めることに尽きる。
物流向けアプリ開発・販売、コンサルティングのHacobuが、トラックドライバー1271人を対象に3月に行った調査では、全体の54%は1時間以上の荷待ちを経験している。仕事で負担に感じることの第1位は、荷待ち時間の長さで、24年問題を受けても半数が変わらないと回答している。
国土交通省は、今般の改正物流法で判断基準の解説書を公開したほか、理解促進ポータルサイトを開設した。これらツールも活用しながら、運送事業者、荷主が物流効率化へ、より強く連携していく必要がある。