目標達成へのロードマップを
輸送事業者が非化石エネルギーへの転換に向けて取り組む際の目安となる判断基準案が提示された。2030年度までに小型トラック(8t以下)では電動車の保有台数割合を10%とし、行政やメーカー、荷主との協力、調査・検討を計画的に取り組むべき措置として示した。
現行の省エネ法では、工場・事業場、荷主、輸送事業者に対し、国が定める「判断基準」に即し、化石エネルギーの使用合理化を求め、また一定規模以上の特定事業者には中長期計画の作成とエネルギー使用状況の定期報告を義務づけている。
来年4月の法改正で新たに非化石エネルギーへの転換を加え、「判断基準」にその目標・取組事項を追加し、特定事業者に対しては、非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画の作成を義務づけることとなっている。
年内にも判断基準を取りまとめるが、トラックでは荷主にも物流施設などの拠点に急速充電インフラの設置目標を盛り込んだ。荷揚げ・荷下ろし中の充電を可能とすることでEV活用を後押しするもので、発着荷主も巻き込んだ総合的な措置として期待される。
さらに自社の電動車や代替燃料の導入のほか、「荷主や他の輸送事業者等との連携」により非化石エネの割合が増加するケースも輸送方法の選択の1つに位置づけており、モーダルシフトや輸送効率化の施策とも連動する。
判断基準案を作成する検討会では特定輸送事業者(保有車両トラック200台以上等)にアンケートを行い、各モードの共通意見を抽出しながら素案を作成した。
アンケートによると、トラック運送事業者(対象351社・回答77社)では、非化石エネルギー使用実績(2021年度)は全体の1%。原油換算エネルギー使用実績で化石55万4697klに対し4956klだった。ちなみにバス、タクシー、船舶、航空は0%、鉄道は12%である。
また、2030年度に向けた自主的な脱炭素化計画の策定状況については、策定済17社と全体の22%。本年度内策定予定2社、今後策定予定28社、策定予定なし30社である。実績が少ない現状からは計画策定も容易ではない。一方で国は2050年カーボンニュートラルへ、GX戦略を強力に推し進めており状況も刻々と変化しそうだ。
検討会の意見でも聞かれたが、インフラも含め技術開発動向や普及状況を見据え、目標達成へのロードマップが必要だ。