省庁横断の取り組み促進を
依然として長時間の荷待ちが発生しており、荷主と運送事業者間にある認識のギャップを是正しなければ前に進まない。2月25日に行われたトラックの取引環境・労働時間改善中央協議会、生産性向上協議会であらためてこの問題の根深さが浮き彫りとなった。
報告のあった国土交通省の荷主対策における働きかけで、長時間の荷待ちは違反原因行為の半数近くを占める。アンケート調査では荷待ち時間発生の有無について、運送事業者の7割以上が発生しているとの回答に対し、荷主は2割台と大きな開きがある。
全日本トラック協会がドライバーを対象に行った調査では、積込先、配送先での困りごととして、「荷待ち時間の恒常的な発生等」が最多であり4割近くにのぼる。現場に大きな負担をかけており、長時間労働が及ぼす影響の大きさをしっかりと認識、共有する必要がある。
協議会委員の意見では、長時間の荷待ちに対し掘り下げた調査やさらなる周知策などが聞かれ、現場の実態を広く知らせていくことが大事だ。
全国消費者団体連絡会の浦郷由季事務局長は長時間労働の是正に関し、消費者側から再配達防止の協力と行政からの啓発を求める一方、最近の大型車の脱輪事故にふれ「消費者が求めるのは安全。そのためにも心に余裕があること」と発言している。サプライチェーンだけでなく、広い視点でこの問題に向き合う必要がある。
発荷主は理解を示しても着荷主の対応が進まなければ改善しない。トラックの改善基準告示見直しの議論においても「商慣行に合わせるのでなく、これを機に商慣行を見直すべき」との見解が示されている。
協議会で連合の冨髙裕子総合政策推進局長は「商慣行の見直しと長時間労働の是正がしっかりと両輪をなして着実に前進すること」と指摘し、今まで以上に省庁横断による取り組みを求めている。
トラック運送業界は燃料高騰の影響が経営に重くのしかかる。現下の燃料高騰に対し政府は追加施策を講じ、転嫁対策は省庁連携で周知を図るが、中小零細が多くを占めるトラック運送業界は即効性ある施策を求めている。
学識者、荷主、トラック運送事業者、労働組合、行政で構成する中央協議会のメンバーには、今回から公正取引委員会も加わった。長時間の荷待ちは従前からの問題である。取引適正化へ省庁連携をより強固に、スピード感を持って抜本的な対策を講じてほしい。