継続的、総合的な支援強化を

全国中小企業団体中央会は20日の自民党「予算・税制等に関する政策懇談会」で、第76回中小企業団体全国大会決議に基づき要望を行った。物価高で困窮する中小、小規模事業者が安心して事業と雇用が継続できる環境の整備や取引適正化への支援、事業者の実態に即したDXやGXの推進、事業再構築や生産性向上の支援など、これまで以上に行うことを求めた。
コスト上昇の厳しい経営環境にある中、中小、小規模事業者は十分な価格転嫁が進まず、賃上げや設備投資の原資確保に苦しむ。さらに後継者不足など事業継続が困難な事業者も増えている。
東京商工リサーチによると、1-10月の「後継者難」倒産は396件(前年同期比10・3%増)と1-10月の最多を更新した。このペースだと年間最多の2023年(430件)を超える可能性が高い。代表者の高齢化など、後継者不在による倒産が増勢をたどっている。道路貨物運送業は20件だが、既に5月時点で過去最多を更新している。人手不足倒産が増加する中でも「後継者難」が深刻である。
とくに中小、小規模事業者が中心であるトラック運送業は原資確保に苦しむ中で、積極的な事業活動を支える環境整備が不可欠だ。
全国中央会の大会決議(10月24日福井市)では、物流の関係で、「サービス業支援の強化・拡充」において、高速道路の利用促進、デジタル・AI技術の導入、共同配送ネットワークの充実に加えて、「社会設計としてのモーダルシフトの推進等、総合的な物流対策のさらなる強化と労働環境の改善支援を講じること」としている。
2024年問題として提起された物流・流通業界の様ざまな経営的困難は社会にも広く認知されたが、「現場事業者のレベルでは十分な改善がなされているとは言い難く、自動化技術やロボット導入も遅々として進まない」とし、継続的・総合的な支援強化を求めている。
さらに「運送・物流におけるモーダルシフトも進展しておらず、未だ自動車運送に過重な負担が掛かる現状改善はもちろんだが、安定的かつ持続的な社会を設計していく観点からも、早急な対応が必要」と指摘する。
政府の物流政策パッケージのもと、支援策、法改正が整備されるがまだ道半ばである。トラックでは実運送の中小、小規模事業者がDX、GX、先端技術を積極的に活用できる好循環が求められる。