若年労働力確保へ救世主たるか

車両総重量3.5t以上7.5t未満または、最大積載量2t以上4.5t未満の自動車を運転できる準中型免許が来年3月12日から施行される見通しとなった。

そもそも、架装減トン問題の解として、2007年に中型免許が創設されたが、受験資格は20歳以上かつ運転経験2年以上とされ、若年者は取得できない仕組みとなっていた。

一方、新人の入門車種ともいえる2t車は、パワーゲートを装着したり、冷凍冷蔵仕様にすると、車両総重量が5tを超えてしまい、普通免許では運転できなくなってしまう。

このため、全日本トラック協会が、普通免許で運転できる車両の範囲を拡大するよう要望し、全国高等学校長協会も高校新卒者の就業機会確保の観点から同様の要望を行ってきた。

こうした要望を踏まえて創設されたのが準中型免許だ。初めて免許を取得する人のための「基礎的免許」であり、18歳で取得できる。

そして、その教習時間が何時限となるかが注目されていたが、このほど警察庁が政省令改正案を公表し、意見募集を開始したものだ。

準中型免許の技能教習時間は、普通免許より7時限多い41時限とされ、学科教習時間は普免より1時限多い27時限とされた。最短取得期間も普通免許の15日に対し、17日とされ、2日間増えたに過ぎない。

1時限当たりの教習料金を5000~6000円とすると、約4万円を追加するだけで倍以上の総重量の自動車を運転できる資格が得られることになる。かなり「おトク感」がある。

しかも、準中型免許が施行される前に取得した普通免許は「5t限定準中型免許」とみなされ、新制度移行後に4時限の技能教習を受けて審査に通れば、限定解除できる。普通免許を取った教習所と異なる教習所で受けた場合でもおよそ4万円程度で取得できると見られ、同じ教習所なら2~3万円程度で限定解除できると見られている。

せっかく制度ができても、受験する人がいなければ意味がない。新免許区分の概要やメリットを高校生やその保護者にPRする必要がある。

全日本トラック協会では、今夏までにPR用のチラシを作成し、全国の高校に配布することを計画中だ。当面は現行の普通免許を取得し、来年3月以降に限定解除する方法を推奨するという。

若年労働力確保の救世主と期待される準中型免許だが、優れた人材の確保には、賃金や労働時間など労働条件の改善や就労環境の改善が不可欠であることはいうまでもない。