荷主の主体的行動を促す
6月に政府が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」を受けて、物流改善に向けた様ざまな施策が講じられている。11・12月はトラックGメンの集中監視月間として荷主対策を一段と強化、「標準的な運賃」の見直しは検討会の提言案が取りまとめられ、より物流現場の実態を反映させた。24年問題を契機に、荷主、社会全体も巻き込んだ「物流革新」が着実に前進している。
標準的な運賃の見直し提言案では、運賃は平均8%の値上げを設定、荷待ち・荷役の対価は公共工事の設計労務単価を参考に標準的な数値を示し、2時間超は割増料金を設定する。年明けの運輸審議会に諮るが、委員からも意見された「実効性の確保」と、何よりトラック事業者による積極的な活用でその効果を最大化していくことが肝要だ。
標準的な運賃の事業者の届出割合は全国ベースで10月末57・9%。8月末(57・5%)、9月末(57・7%)から微増で頭打ちだ。時限措置が延長され、使いやすいよう見直しの措置も講じておりさらなる活用を促す必要がある。
先に開かれた全日本トラック協会の理事会で、坂本克己会長は政府、国の一連の物流施策に触れ「皆さんの力で国を動かした。あとは動くこと」と述べ、あらためて荷主への交渉と、不適切な荷主情報の提供を呼び掛ける。
国土交通省の鶴田浩久物流・自動車局長は、トラックGメンの活動や標準的な運賃の見直しは「いずれも実運送にしっかりお金が届き、ドライバーの処遇改善が目的」と引き続き協力を求めている。
政府、国の一連の物流施策も実運送の適正な運賃・料金収受の実現が成果の目安になるといえる。省庁連携で荷主対策にさらに踏み込む中で、荷主側の主体的な動きも求められる。
政策パッケージには年内に業界・分野別の自主行動計画の作成・公表を要請している。
「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」に沿い、これまで荷主関係団体が公表した自主行動計画には荷待ち・荷役2時間以内ルールや統括者の選任、契約の書面化、運賃と料金の別建て契約など概ねガイドラインに準じる。工程表を策定しフォローアップにより状況を確認するなど対応もみられる。
24年問題を契機とした物流改善は実運送がしっかり機能することであり、各施策が実効性を確保するよう見据えたい。