規模間格差に抜本的措置を
帝国データバンク(TDB)が行った2月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・4ポイント減の42・5、3カ月連続で悪化した。3カ月連続の悪化は2022年2~4月以来約3年振りだ。
景気DIの判断目安は、50が良い・悪いの中間点となる。運輸・倉庫業界は2018年12月(50・5)以来50を超えた月はない。コロナ感染拡大に直面した20年6月(21・5)を底に、22~23年にかけて40台まで回復するも、24年11月の45・9をピークに再び下降傾向にある。
2月の下げ幅は小幅だが、下降傾向は燃料価格の高止まり、ガソリン補助金縮小によるコスト圧力が大きい。TDBによると、人件費の負担増や車両価格の高騰も下押し要因と分析する。
荷動きも明るさは見られない。コメをはじめ食品の値上げや寒波の影響で個人消費が落ち込む。中国の景気低迷や2月は春節による物流の影響も聞かれる。米トランプ政権の関税政策など、景況への下押し要因が重なる。
軽油店頭価格は3日時点で全国平均163・9円、5週連続で下がるも小幅で、1年前より9・7円増、2年前比では16・3円増と高止まりだ。暫定税率廃止の議論も実施時期の不透明さから、燃料価格の動向は引き続き景況感に大きな影響を及ぼす。とりわけ中小零細企業が大半のトラック運送業界では収益を大きく圧迫する。
TDBの2月調査からは、大企業、中小企業の景気DIの格差も確認できる。全体では大企業は改善したが、中小企業は2カ月連続で悪化した。景気DIの規模間格差は5・5ポイントと3カ月連続で拡大した。とくに運輸・倉庫業界は燃料価格の上昇が負担となった中小企業が落ち込んだとコメントしている。運輸・倉庫業界の大企業の景気DIは1・0ポイント改善の46・6だが、中小企業は0・7ポイント悪化の41・8で、4・8ポイントの格差がある。
トラック運送業界は、4月施行の改正物流法や検討が進む多重構造是正、下請法改正など、実運送を担う中小事業者の取引環境改善への措置が講じられるが、足元ではコスト増に対し価格転嫁が追い付かない。
全日本トラック協会が進める貨物法の改正法案には、事業許可更新制のほか、標準的運賃を収受できるよう、法的根拠を付与することも盛り込んでいる。コスト上昇が避けて通れない中、確実に運賃・料金を収受できる抜本的な措置が望まれる。