車籍別データで事故防止
全日本トラック協会は2013年の統計開始以来、事業用トラックが第1当事者となった死亡事故件数を、都道府県ナンバー別(車籍別)に集計したデータを公表している。
通常用いられるのは、発生地別の事故発生件数だが、トラック運送業界では、都道府県別に事故防止対策に取り組むことが多く、他県ナンバーが起こした事故のデータで対策強化を訴えても、説得力は今ひとつだ。同じ事故防止を訴えるなら、自県の車両のデータの方が望ましい。
そこでナンバー別(車籍別)の事故データ公表に踏み切った。全ト協と各都道府県トラック協会は共通の数値目標として1万台当たり死亡事故件数を、全国平均「2・0」件以下とすることを掲げて取り組み、これまでに顕著な効果をあげてきた。
16年は、25都県でこの数値を達成した。15年の17都県から8県増えている。14年は11都県だったので、倍以上に増えたことになる。
昨年9月、全ト協は「トラック事業における総合安全プラン2020」で、目標をさらに厳しい「1・5件」以下に設定した。
17年に、この「1・5」件以下をクリアできたのは18都道県だ。数値目標を2・0件から1・5件に引き下げたため、達成県は前年の25都県から7県減ったが、全国平均値は前年比横ばいで推移した。
なかでも、車両数の多い東京(9万5020台)は、統計を取り始めた13年から5年連続で目標値をクリアしており、特筆すべきだろう。
また、福井、和歌山、鳥取、徳島、沖縄はゼロを達成し、鳥取と沖縄は2年連続だ。
車両数が少ない県は、数値が上下にぶれやすい。島根(5868台)は15、16年の2年連続ゼロから17年は死亡事故2件を起こし、いきなり「3・4」件となった。
岩手(1万4586台)も17年は死亡事故5件により「3・4」件となり、過去5年間で最悪となった。
14年から公表を開始した、都道府県ナンバー別の1万台当たり死亡事故件数だが、全国平均は13年の「2・9」、14年の「2・7」、15年の「2・5」、16年には「2・1」と着実に減少してきたが、17年は足踏みを余儀なくされた。
事故の絶対数で見ても、17年の死亡事故件数(除く軽貨物)は、前年比12件増の270件へと5年ぶりに増加した。今年に入ってからも、1月は前年を上回ったが、2月以降はなんとか減少傾向が続いている。デジタコやドラレコなど車載の安全装備は確実に進化していることだろう。トラック運送業界のこれからの動向に注目したい。