連携・協働へ前進
加工食品物流で外装サイズの標準化に向けたプロジェクトが立ち上がった。7月30日に関連事業者による協議会の初会合が行われ年内のガイドライン策定へ検討が始まった。労働力不足が深刻化する中で、全体最適へ議論を深め、早期の標準化実現に期待したい。
国土交通省は、物流の生産性向上へ関係者の連携・協働による検討を進め、3月に官民が取るべき方策を示した「加工食品分野における物流標準化アクションプラン」を策定した。納品伝票、外装表示、外装サイズ、コード体系・物流用語の4項目について具体的に取り組むものだ。
このうち納品伝票、外装表示、外装サイズはそれぞれ関連事業者、団体による民間主導の協議会を発足させ業界推奨を制定、随時実施・導入を図る考えである。
物流は経済活動と国民生活を支える重要インフラであることは、コロナ禍において、さらに多発する自然災害時も機能維持に努める事業者の使命感から、その役割はより鮮明になっている。
物流を止めないために もサプライチェーン全体で物流の効率化、生産性向上へ課題、問題点を共有することが不可欠である
とりわけ加工食品はトラックが輸送の9割以上を占め、荷待ちや手荷役作業など運ぶ側にしわ寄せも生じる。課題解決へこれまでも官民議論を重ねてきたが、ここにきてアクションプランが示され、事業者間の連携・協働によるプロジェクトの発足、ガイドライン策定へ具現化したことは大きな前進だ。
協議会のメンバーにはセブン&アイ、シジシージャパンと小売り・卸も加わる。上流から末端小売り各段階の参加企業が、効率化に関する情報や事例など企業の垣根を越えて共有し標準化内容の合意を得る流れだ。
外装サイズ標準化も、工場~倉庫~問屋・流通センター~小売店の各段階をどうとらえ全体最適を実現するかには難しいハードルもある。しかしサプライチェ―ンの各プレイヤーが実態を踏まえ意見を出し合うことで新たな方策が見出せるのではないか。
新型コロナウイルスの感染拡大で経済社会活動は予断の許さない状況が続くが、新たな日常の中で物流にも高度化が求められる。省人化、自動化の動きも標準化は前提となる。
〝古くて新しい〟課題である標準化はサプライチェーン全体で課題を解決する流れを継続する必要がある。こうした観点からもプロジェクトの意義、役割は大きい。