連携・協働促す措置を
改正物流効率化法の荷主・物流事業者に対する規制的措置の施行へ議論が進む中、日本経済団体連合会が意見書を公表した。荷主の事業実態や特殊な事情を考慮した制度設計を求めている。
国交省、経産省、農水省3省合同会議の前回会合(8月26日)で取りまとめ素案が提示され、物流、荷主関係団体のヒアリングからは、荷待ち・荷役時間の把握など業種・業界で様ざまな意見が交わされた。
経団連の意見書には冒頭に「荷主の事業実態を踏まえ、業務負担ができるだけ少ない方法」、「先行して努力してきた事業者が不利な扱いを受けないような制度設計」、「自主行動計画に記載された各業界の特殊事情を考慮」と記している。
業界によって荷待ち・荷役の総時間を2時間以内にできない特殊事情や、積載効率を向上できない特殊事情が多々存在するとし、医薬品、化学・石油、鉄鋼・重機、小売、建築、石油、精密機器の各事例を挙げている。
また、基本方針の実効性を確保するためにも、荷主、運送事業者が日頃からコミュニケーションを取るなど双方の連携を促すことを判断基準に追記すべきとし、問題が生じた場合に双方でコミュニケーションを取り、円滑に解決する仕組み作りを求めている。
意見内容は全体で14項目に及ぶ。トラックドライバーの荷待ち・荷役の総時間を短縮させる規制的措置の目的達成に最大限努力するためにも、荷主側のできること、できないことを主張し、より実効性ある措置を求めている。
荷待ち・荷役時間の削減には、荷主、物流事業者の現場における分業の実態を踏まえ、それぞれが連携・協働して、待機・荷役時間の状況を把握する必要がある。これは荷主、物流事業者間だけでなく、発荷主、着荷主間の取引関係に踏み込んだ議論も必要だ。
一方で、経団連の意見書には、政府に対しては改正物効法を広く国民に周知させることや「事業者側で消費者由来の繁閑差をコントロールすることは難しく、繁閑差平準化に係る好事例については政府の積極的な広報」を提唱している。
今回の法改正に向けたベースを議論してきた「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の中間取りまとめには、「物流事業者、荷主企業・消費者、経済社会の〝三方良し〟を目指す」とある。事業者間における連携・協働をさらに促すような措置が望まれる。