運賃交渉はやっと5割

業界の適正取引推進の取り組み状況調査によると、運賃交渉した中小トラック運送企業の約半数は「値上げ」という成果を得ているようだ。荷主企業も含む大手物流関連団体の物流コスト調査では、運賃値上げを打診された荷主の約77%が「値上げ要請に応じた」と回答している。

業界団体では、静岡県トラック協会(静ト協)が1月に実施した「適正取引推進の取り組みに関する状況調査」(運賃交渉アンケート)と、毎年1月と7月に実施している東京都トラック運送事業協同組合連合会(東ト協連)の運賃動向に関するアンケート調査から、事業者の取り組み状況がうかがえる。

静ト協の調査は、全会員事業者(1356社)を対象に実施し、約半数の672社が回答。荷主との運賃交渉は「すでに実施」が374社(55・8%)、「今後実施予定」が110社(16・4%)で、これらを合わせると72・5%が運賃交渉に取り組んでいる。

今回のアンケート調査の目的について、静ト協幹部のひとりは「国土交通省をはじめ国が物流を応援してくれている。それに応え、物流事業者も努力しないといけないが、(荷主との交渉が)できない運送会社もある。アンケートでその実態を調査し、結果を分析して環境づくりに役立てたい」と語る。

荷主と交渉した374社の結果をみると、「要請どおり値上げ等ができた」は82社の14・3%、「一部要請が受け入れられた」が206社の35・9%だ。取引条件の改善などで「成果あり」と答えた事業者は288社の50・2%に上った。

また、「交渉中・回答待ち」との回答も156社(27・2%)と3割弱を占めた。一方、交渉の結果「値上げ要請は受け入れられなかった」や「値下げまたは条件が悪くなった」などの「成果なし」事業者は15%程度だった。

そのほかでは、「値上げまでには至らなかったが、今回は高速代を負担してもらった」「待機時間などを減らすなどの対応が進んでいる」「値上げできた荷主、できなかった荷主とまちまち」などが3・3%だった。

今回のアンケート結果から全体としては、「いい流れができつつある」との見方もできる。これまで運賃交渉ができなかった事業者も、交渉を行うことで、取引状況の改善が見込まれるのは明らかだ。今後の取り組みに期待したい。

あるカリスマ経営者も「お客様のご要望に応え、完璧に輸送するのが我々の仕事だ。だが、赤字では出来ない」と理解を求めている。