運転しやすい車両で人手確保
国土交通省と全日本トラック協会が「女性ドライバー等が運転しやすいトラックのあり方検討会」を設置した。
女性をはじめ、若年層、中高年者ら様ざまな働き手にとって運転しやすいトラックを開発するため、立ち上げたもので、14日に初会合を開いた。今年11月を目途に運転や荷役のしやすい車両の目安となるガイドライン(仮称)作成をめざす。
厚生労働省によると、1月のトラックドライバーを含む「自動車運転者」の有効求人倍率は、全産業より1・24ポイント高い2・76倍だ。ドライバーの労働需給がひっ迫している状況がうかがえる。
しかも女性の就業率割合は2・5%と低く、ドライバーの平均年齢は、大型トラックが47・5歳、中小型トラックは45・4歳で、いずれも全職業平均と比べ高い。
トラック運転者は、これまで男性中心の職種だったが、労働需要がひっ迫し、労働環境の厳しい物流現場で、今後も運転者を安定的に確保するためには、女性の活用、働き盛りの若年層の定着、中高年者らが働き続けられる環境整備が求められている。
こうしたなか、トラック運送業界と行政が共同で「女性等のトラックドライバーが運転しやすい環境を整えることにより、女子ドライバー等の増加を図るため女性等のトラックドライバーの視点に立った車両のあり方に対する検討会」をスタートさせた。
検討会ではトラックメーカーや事業者、運転者、運送会社勤務の事務職など幅広い声を吸い上げ、最終的にはガイドラインを作成し、トラックメーカーに開発に当たっての参考にしてもらう。
「女性も運転しやすいトラック」とは、すなわち全ての人が運転しやすく、扱いやすいトラックということに他ならない。
5~8月までの4カ月間をかけて調査を行い、課題を把握する。具体的にはトラックや車体メーカーへのヒアリング、アンケートを行う。
車体メーカーには、安全確保の観点から、荷台への転落・墜落防止策などを聞くほか、ドラコンで入賞した女性ドライバーのヒアリングも予定している
国交省では、ガイドラインの浸透を図ることによって、働きやすい労働環境を整備し、トラックドライバーの人材確保・育成を推進していく。
トラックには、運転や荷役のしやすい車両開発、ハード面での配慮などが求められている。深刻な人手不足の対応策のひとつであり、その効果に期待したい。