高速5割引 恒久化を

2016年度第2次補正予算が閣議決定され、トラック業界向けに、ETC2.0利用者に対する高速道路料金割引拡充措置の1年間延長、トラック運送業の生産性向上のための補助金が盛り込まれた。

高速料金割引は、原則40%である大口・多頻度割引の最大割引率を50%に拡充する措置で、適用対象となるETC2.0車載器の普及が遅れていることもあり、国費は105億円にとどまった。国土交通省では、普及の遅れにより今年度分の予算256億円に余剰が出るため、一部を来年度に繰り越して割引財源に充当する考えだ。

2014年度に、深夜割引など時間帯割引が縮小されることに伴い、激変緩和措置として1年限定で導入された拡充措置だが、その後も毎年、単年度の予算措置により延長されてきた。今年度からは、適用車両をETC2.0利用者に限定したため、予算額が減少している。

全日本トラック協会が、営業用トラック50万台に対し1台当たり4000円の助成予算を用意するなど、業界をあげてETC2.0の普及を後押ししているが、その普及が遅れている。機器メーカーの供給体制が整ったのが今年4月頃となったこともあり、全ト協への助成金申請台数も現時点で1.4万台程度にとどまっている。

普及が遅れているETC2.0だが、普及が遅れている分、従来型ETCへの猶予措置が問題になってくる。今年度は、従来型であっても4月以降も半年間程度は最大50%割引が適用される経過措置がとられているが、半年とすれば9月末で期限が切れるため、全ト協と日貨協連は8月23日、この経過措置を当面の間、延長するよう国交省道路局に要望した。

激変緩和措置として始まった割引拡充措置だが、来年度で制度開始から4年目を迎え、業界では定着した感もある。ただ、単年度ごとの予算措置のため、制度として不安定な点は否めない。

国交省は、ETC2.0の普及拡大に躍起だが、逆にみれば、単年度の制度であるがために、新たな車載器への投資が進まない側面もあるのではないか。

一般道の安全対策、環境対策の観点から、トラックは極力高速道路に誘導すべきであり、誘導は料金施策により行うべきだ。高速道路を利用することで、物流の生産性向上にも寄与する。

制度としての安定性を確保し、ETC2.0の普及を促進するためにも、割引拡充措置を恒久化すべきではないか。