KIT運賃指数を目安に

トラック運賃の値上がりが続いている。全日本トラック協会(全ト協)と日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)が毎月公表している、求荷求車情報ネットワークシステム「WebKIT」の成約運賃指数は昨年8月から12月まで5カ月連続「130」と、過去に例がない状況だ。

とくに12月は前月比6ポイント、前年同月比10ポイント上昇して「137」と、2010年4月に調査開始して以来、最も高い数値となった。

昨年7月以降は、ドライバー不足や労働時間短縮などの要因に加え、西日本豪雨や地震・台風など自然災害が重なり、豪雨災害による鉄道網寸断でトラックへの輸送需要が膨らんだこともあるが、一服の気配が全く見られない。

KIT運賃指数は、8月に初めて「130」台につけ、これまでの年末や年度末の過去最高水準を突破した。求車情報件数は、毎月が繁忙期並みの情報量で推移している。

2018年度(4-12月)のWebKIT求荷求車登録件数は、求車(荷物)が前年同期比33万4603件増(29・7%増)の145万9698件となった。12月は前年同月比1万2549件増(6・6%増)の20万3622件となり、調査開始以来初の20万件超えを記録した。

トラック運送業界は、深刻化するドライバー不足や労働時間短縮などの諸課題の常態化による輸送供給力不足で求車(貨物)情報が大幅に上回る状況が続いている。

日本ロジスティクス協会(JILS)がまとめた2018年度の物流コスト調査(速報値)によると、荷主企業の売上高物流コスト比率は全業種平均で前年度比0・29ポイント増の4・95%だった。物流事業者からの運賃・料金値上げ影響から上昇したとみられるが、5%台には届いていない。

しかし、値上げ要請の動向調査では、回答企業224社の87・9%が要請を受けたと回答し前年度(71・6%)に比べ約16ポイントも増加したことになる。値上げ要請のコスト種類は、輸送費の187社が最も多く、荷役費81社、保管費49社、包装費23社。また、値上げ要請があったと回答した荷主企業の95・4%は「値上げに応じた」と回答している。

多くの製造業では、原料価格や物流費などの上昇を理由に値上げを実施している。なかでも物流コストの上昇水準は、ドライバー不足など人手不足や燃料価格の高止まりに加え、行政指導による運賃適正化によるものとの認識が広がっている。

スポット運賃の指標であるKIT成約運賃指数は、荷主との運賃交渉で目安にもなるだろう。