SDGs、身近な改善対策から
SDGs(持続可能な開発目標)はトラック運送事業者の日々の事業活動と大きく関係する。全日本トラック協会はこのほど、トラック運送事業者によるSDGs実践の手引きとなるパンフレットを作成した。分かりやすくまとめており広く周知、活用したい。
SDGsの理解促進とともにトラック運送業界の事業活動と紐付けし、経営実践に取り込むための指針となる。全ト協各部の若手が中心となって作成したという。
冒頭には「常に安全を最優先課題とし、環境対策や労働対策、産業の将来に向けた様ざまな取り組みを進めているトラック運送業界の姿勢は、SDGsの〝誰1人取り残さない〟理念と通じる部分がある」とし、トラック運送業界にとってはより身近な存在であることを再認識する。
SDGsには17のゴール(2030年のあるべき姿)と169のターゲット(2030年までに達成すべき具体的な目標)が示されている。この169の中には「世界の道路交通事故による死傷者数を半減させる」が設定されている。日頃取り組んでいる安全・事故防止の対策もSDGsの目標につながっている。
こうした日々の事業活動を通じて実際にSDGsに取り組んでいる〝気づき〟とともに、実践することによるメリットも多い。
SDGsは小中学校の学習指導要領の内容となっており、これからの若い層の採用・定着への効果がある。それは業界全体のイメージ向上になる。トラック運送業界は足元の「2024問題」が喫緊課題だが、将来に向けて安定した人材確保へSDGsの取り組みが必須になるといえる。
さらにSDGsをうまく経営に取り込むことで、これを契機としたビジネスチャンスの可能性も膨らむ。自社の本業を通じて環境、社会、経済の課題解決に取り組むことで、地域との連携、新たな荷主、事業パートナーの獲得など企業価値向上につながる。
パンフレットにはこうしたメリットのほか「17のゴール」について、関連する各2-3項目を掲げ、チェックリストを掲載。自社の取り組みを確認して〝見える化〟を促す。
中小零細が多くを占めるトラック運送業界。経営環境が厳しい中で、SDGsを実践するにあたって、項目の多さや業務負担から入ってしまうこともある。まず、日々の身近な課題への改善対策そのものがSDGsにつながっていることを自覚したい。