さらなる連携・協働を
行政、学識経験者に物流団体・事業者、経済団体、荷主団体などで構成する「官民物流標準化懇談会」の第2回会合が開かれ、パレット標準化分科会の中間取りまとめを受けた今後の対応や、各省庁の取り組みなど状況を確認した。ものが運べなくなる物流危機を共有するなかで、官民連携はもとより業種・分野間、省庁間の一段の連携強化が求められる。
関係者の連携・協働による物流標準化を検討する場として、昨年6月17日に初会合が開かれ、「標準化の方向性の議論が収斂すれば、具体的な推進政策により全力で後押しする」と当時の赤羽一嘉国交大臣の力強いメッセージが記憶に新しい。物流標準化は待ったなしであり、2024問題が間近に迫る中で荷主側の危機意識も強まり、「関係者の連携・協働」なくして進まない喫緊課題である。
とくに標準化が急がれるパレットで分科会を立ち上げ、T11型をこれからパレット化する事業者に推奨するなど1部前倒しに取り組み、引き続きパレット全体の標準化へ規格・運用面の検討を進めていく。荷主約30業種の団体に対しアンケートを行うなど実態調査、意見収集し、物流側では日本物流団体連合会の小委員会で検討を進める循環スキーム構築の素案が12月にも取りまとめられる。1年でこうした業種・分野横断の検討が前進したことついては委員からも評価を得ている。
これからの実行にあたって、推奨パレットについては「行政・物流団体・経済団体など連携による強力な発信」を推し進める。さらに全体の運用・規格については課題も山積する。とくに標準化にあたってのコスト負担である。受益者間での公平な負担を徹底させるべき方策、またトラックドライバーの附帯作業についても、コストとして適正に料金収受する仕組みづくりがその前提だ。
附帯作業ではこれまで業種・分野毎に策定されたガイドラインの徹底など周知を図っていくことがあげられる。さらに国交省ではパレット普及に向け、優良企業認定や表彰などの奨励、取り組みやすい業種分野の導入支援から好事例を広く周知するといったことも視野に分科会で検討するという。インセンティブ施策も含め、官民、業種・分野間で徹底して議論し有効策を見出してほしい。
懇談会では農水省から青果物分野の物流標準化、経産省からフィジカルインターネットロードマップの説明があった。この1年で標準化に向けた動きが一気に加速している。 関係者の強力な連携のもと、講じるべき施策を着実に実行に移したい。