回復基調も規模間格差
全ト協経営分析報告書
全日本トラック協会(坂本克己会長)は2020年度決算版経営分析報告書を取りまとめた。経済活動の再開で貨物輸送量は回復基調に推移、中・大規模事業者を中心に売上高は増加に転じ、利益も回復基調となったが、小規模事業者の業績は依然として回復せず規模による格差が大きい状況にある。全国の事業者2687者(有効数)から提出された20年度決算(19年10月~21年8月)の「一般貨物自動車運送事業報告書」について決算内容を分析したもの。貨物運送事業の営業収益(売上高)は1者平均2億3198万千円(前年度比6・3%増)、輸送トン数は同7万4800万トン(同10・6%増)となった。兼業分を含む全ての売上高は2億3326万5千円(同6・0%増)だった。貨物運送事業の利益面では、営業損益は1者当たり損失101万千円で前年度の損失219万3千円から118万2千円増加。売上高営業損益率は▲0・4%と0・6ポイント改善した。経常損益は利益221万2千円で、前年度の損失49万5千円から270万7千円縮小。経常損益率は1・0%と前年度比1・2ポイント改善した。経済活動の再開による貨物量の増加を背景に営業損益率が改善、経常損益率は営業外収入にコロナ関連の助成金収入が計上されプラスとなった。営業損益段階の黒字事業者の割合は44%(1190者)、前年度から7ポイント改善、経常損益段階の黒字事業者は57%(1522者)、12ポイント改善した。キャッシュフローは13・9%増加し、1590万千円。損益ベースでは厳しい状況が継続するが、減価償却費、借入金等で資金繰りを確保する。有利子負債残高は21・9%増の9626万1千円で売上高に対して41・3%となっている。一方で、事業規模別でみると格差が生じている。とくに利益面では営業損益率で車両101台以上が1・2ポイント改善の1・7%に対し、100台以下は改善も小幅、車両10台以下は悪化した。10台以下の区分では62%が営業赤字、46%が経常赤字だった。このほか全体平均の営業費用項目(運送費)をみると、売上高に対する人件費は39・8%(前年度38・8%)に上昇、燃料油脂費は、当期は燃料価格下落もあり12・0%(同13・5%)に下げた。ほか修繕費5・8%(同5・8%)、減価償却費6・4%(同6・4%)など。