JP、トナミHDを傘下に
物流事業の収益向上へ、協業で特積み効率化
日本郵便(JP、千田哲也社長)は2月26日、トナミホールディングス(髙田和夫社長)の株式を公開買付け(TОB)で取得すると発表した。トナミHDのマネジメント・バイアウト(MBО)を企図し、同社の創業家代表(綿貫雄介氏)、経営陣、日本郵便の共同コンソーシアムにより実施する。国内企業間物流のJPロジスティクスとの連携をはじめ協業によるさらなる付加価値創出を目指す。トナミHDは当初、経営陣、創業家による非上場化を目指していたが、外部の経営資源も活用することが必須と判断。金融機関の仲介で日本郵便と昨年6月から定期的に意見交換を進めてきた結果、双方にとって最適なパートナーであるとの認識に至った。日本郵便は2月27日から公開買付け手続きを開始、買付期間は4月10日まで。株式100%取得(907万4682株)を目指し、買付価格は普通株式1株につき1万200円、総額926億円。買付予定数の下限は603万6500株。共同コンソーシアムに対する日本郵便の出資額は750億円(議決権割合99・97%)を予定する。ほか銀行借入約200億円、創業家代表・経営陣は各1000万円の出資を予定する。日本郵便は同株式取得・所有を目的に設立した子会社のJWT(美並義人代表取締役)を通じてTОBを実施。完全子会社化とした後にJWTは「JPトナミグループ」に商号変更する。創業家代表、経営陣は引き続きトナミHDグループの経営に継続してあたり、執行機能の変更はない。一連の取引を経て、JPトナミグループとトナミHDは2026年6月頃を目途に合併するスキームとする。
●JPロジと全国ネット構築へ
日本郵便は幹線輸送に強みを持つトナミHDとの協業により、国内企業間物流を強化する。西日本中心に展開するJPロジスティクス(売上高617億円)に、関東・北陸・中部を得意とするトナミHD(売上高1421億円)が加わることで日本全国ネットワークへ収益規模を拡大する。具体的には特積み事業を効率化し、地理的配置、収容能力、オペレーションノウハウなどを考慮した施設の開発や、輸送ネットワークの適正化・再編、日本郵便が進めている幹線輸送の共同運行事業との融合による、輸送の最適化を図る。さらに営業機能の強化・拡張や共同営業、共同購入などの活用による国際物流事業やその他の事業の強化も見据える。同日の記者説明会で日本郵便の行木司執行役員は、「国内のBtоB事業が手薄であり、トナミHDとともに特積みネットワークを拡大し、グループ一体で進めることでシナジー効果、収益向上を図る」とコメントした。協業により物流事業の付加価値を高め全体の収益の底上げを図る考えだ。