「標準的な運賃」さらなる浸透を
自社運賃原価計算「実施済」3割
18日に行われた省庁連携による「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」、「トラック運送業の生産性向上協議会」では、委員から浸透が進なない「標準的な運賃」について、運送事業者、荷主の理解、活用に関する意見、質問が相次いだ。国土交通省は制度の理解から運賃計算、交渉を経て届出るプロセスを重視しながら、届出率向上へ中小運送事業者へのさらなる浸透を図る。国交省によると「標準的な運賃」の届出割合は8月末で全事業者の49・9%。制度の理解(ステップ1)、自社で運賃を計算(ステップ2)、荷主と交渉(ステップ3)、届出(ステップ4)を望ましいプロセスとする中で、3月に行った実態調査結果からその進捗状況を示した。ステップ1では「金額や原価計算の方法などすべて理解」と回答した事業者は33%で、「金額のみ理解」43%、「名称のみ知っている・聞いたことがある」20%だった。ステップ2の標準的な運賃を考慮した自社運賃の原価計算は「実施済み」が32%で、「計算中」21%、「未実施」47%だった。荷主との交渉では「標準的な運賃を提示して行った」は17%、「標準的な運賃を考慮した自社運賃で行った」は35%。うち荷主から一定の理解を得られた事業者は33%、交渉中40%、理解を得られなかった25%だった。委員からは「そもそも原価計算を理解せず荷主と交渉はできない」とし理解を促す施策や、届出率が低いことは「発着荷主への周知」や、「非協会員事業者への対応」など意見が聞かれた。堀内丈太郎自動車局長は関係省庁との連携を進めながら、「標準的な運賃は道半ばだが、さらに届出率を上げ、中小事業者へ浸透させていく」との見解を述べた。
●改正改善告示で「商慣行是正を加速」
同日の会合では国土交通省、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省から施策を説明した上、意見交換した。厚労省は先般取りまとめた改正改善基準告示の内容と荷主などへの周知、対策を説明、委員からはこれらの実効性確保とともに「商慣行是正もあわせて加速していくこと」への期待が聞かれた。厚労省が8月に設置した「トラック相談センター」には2カ月で 76 件の相談を受けており、希望に応じ訪問支援も実施中という。また、燃料価格上昇への対応では、国交省が全国64カ所に設置した相談窓口や目安箱(ウェブ)からこれまで計35件の相談に対応。うち燃料サーチャージ25件、運賃交渉9件、燃料価格1件だった。公取、中企庁からは一連の転嫁円滑化施策パッケージに関する状況など説明した。運送事業者への価格転嫁が進まない中で消費者団体の委員からは「値上げの理由に原材料高騰のほか物流費もあげられており、親会社、大企業がしっかり転嫁する適正取引をしてほしい」との指摘があった。荷主側委員の経団連からは「自動車運転者の労働時間削減は1企業、1業界だけの取り組みだけでは対応が難しい。経団連としてもパートナーシップ構築宣言の呼びかけとともに。今後はとくに荷待ち時間解消へ発着荷主企業の協力を求めたい」とコメントした。