「適正原価」下回る運賃を制限、貨物法改正案
物流政策推進会議を設置
議員立法により今国会での成立を目指す貨物法改正案と、これを担保する特別措置法の法律案の概要が明らかになった。トラック運送事業の許可を5年ごとの更新制とするほか、運賃・料金について、国土交通大臣が定める「適正原価」を継続して下回らないことを義務化する。委託次数は2回以内に制限するよう努力義務化し、白ナンバートラックの利用を禁止(罰則付)、荷主等に是正指導を行う。法改正は全日本トラック協会が昨年12月に表明し、事業許可更新制など4本柱で検討を進めてきた。16日に行われた立憲民主党の国土交通部門会議で、同法案について全日本トラック協会からヒアリングし、意見交換が行われた。小宮山泰子国土交通部門長は「物流に日々問題点を感じており、現場の声をしっかり聞きながら法改正が進み、よりよい結果をもたらせるよう努力する」と述べた。全ト協の坂本克己会長は「トラックは電気、ガス、水道と同じ公益産業であり、現場のドライバーはエッセンシャルワーカーそのもの」とし、法改正の目的は、ドライバーが自信と誇りを持てるよう処遇を改善し、社会に貢献するものと理解を求めた。改正法案では、適正運賃収受へ、「適正原価」を下回る運賃・料金を制限する。貨物利用運送事業者にも同様に規制し、適正原価を支払わない荷主には、違反原因行為に該当するものとして是正指導する。適正原価は運輸審議会に諮る。これにより現行の標準的運賃は廃止する。委託次数の制限では、トラック運送事業者、貨物利用運送事業者は、元請として運送を引き受ける場合、再委託の回数を2回以内に制限するよう努力義務化する。現行法で貨物利用運送事業者が真荷主として扱われる場合、同事業者が元請として扱われるよう、真荷主の範囲を適正化する。許可や届出なく有償で運送行為を行う白トラの利用を禁止する。利用する荷主に対し要請、勧告などを行う。また、「労働者の適切な処遇の確保」を明記し、公正な評価に基づく適正な賃金の支払い、その他労働者の適切な処遇を確保するために必要な措置を実施するものとした。一方、改正法を担保する法案(貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律案=仮称)は、許可の更新事務、事業適正化支援を適切・効率的に実施できるよう、独立行政法人に委託し、必要な体制整備と財源措置を行う。政府はこの基本方針に基づき、必要な法律上の措置を、施行後3年以内を目途に講じる。また、集中的な推進を図るため、物流政策推進会議を設置し、推進会議の下に、連絡調整を行う関係者会議の設置を盛り込んだ。