トラック倒産1―11月で前年超え

11月、前年同月で4カ月ぶり前年上回る

東京商工リサーチ(TSR)は9日、11月の道路貨物(トラック)運送業倒産が前年同月比24・0%増の31件と4カ月ぶりに前年同月を上回ったと発表した。負債総額は同115・2%増の72億3900万円で、6カ月ぶりに前年同月を上回った。負債1億円以上5億円未満が12件(前年同月5件)に倍増のほか、同5億円以上10億円未満が2件(同1件)に増加し負債総額を押し上げた。また、今年1-11月の累計件数では前年同期比17・4%増の337件だった。すでに11月末時点において23年の年間件数(328件)を上回るペースで推移し2012年(351件)以来、12年ぶりの350件超える可能性が高まっている。11月トラック倒産の内訳は、燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産が14件(前年同月11件)で、6カ月ぶりに前年同月を上回った。10月まで3カ月連続で10件を下回り、小康状態が続いていたが、燃料価格の高止まりは続いており、価格転嫁が進まず採算性を改善できない企業もいまだ多いことが浮き彫りになった。年末を迎えて輸送需要が高まっており、ドライバー不足も深刻化している。11月の「人手不足」関連倒産は9件(前年同月2件)で、前年同月から大幅に増加した。「人手不足」関連倒産の1-11月累計では70件(前年同期39件)に達し、過去最多を更新中で、特に「後継者難」倒産は23件(同7件)と3・3倍増が目立つ。TSRでは「ドライバー確保のための賃上げや待遇改善だけでなく、後継者の育成や事業承継の準備が事業を継続していく上で重要」(情報部)と指摘する。しかし、規模の小さい事業者ほど、「ドライバー確保や価格転嫁への対応は進んでおらず、今後も倒産件数が増加する可能性がある」(同)としている。