トラック倒産2010年以降で最多

24年上半期194件に

トラック運送業の2024年上半期(1―6月期)倒産は、燃料費の高騰など「物価高」や、2024年問題で加速する「人手不足」も追い打ちをかけ、上半期としては4年連続で前年同期を上回った。東京商工リサーチ(TSR)がまとめた「道路貨物運送業の倒産」(負債額1千万円以上/法的倒産と私的倒産を含む)上半期集計によると、件数は194件で前年同期比42・6%増。2010年以降の15年間では最多を更新する。TSRによると、負債総額は241億8700万円(前年同期比31・3%増)。上半期では10年ぶりに200億円を上回った。負債額でみると、5億円以上10億円未満が7件(前年同期4件)、1億円以上5億円未満が79件(同50件)と中規模の倒産が増加し、負債総額を押し上げた。燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産は70件(前年同期比52・1%増、前年同期46件)で1・5倍に増加した。下請けの多い中小・零細企業ではコスト上昇分の価格転嫁が進まない企業もまだ多い。軽油店頭価格は6月末(6月24日)時点で154・4円/リットルと高水準で、「物価高」倒産は引き続き増勢が続くとみられる。また、「人手不足」も2024年問題などにより加速し、「人手不足」関連倒産は37件(前年同期比85・0%増、前年同期20件)で前年の1・8倍超となった。内訳は、「後継者難」が17件(前年同期4件)に急増したほか、「求人難」が9件(同10件)、「人件費高騰」が7件(同6件)、「従業員退職」が4件(同ゼロ)。経営者、ドライバーともに高齢化が進むなか、若年のドライバーの確保も難しく、事業継続を断念せざるをえない企業が増加している。

●6月は単月横ばい

TSRが6月に実施した「2024年問題」に関するアンケート調査によると、「どのようなマイナス影響を受けたか」との質問に対し、運輸業は「稼働率低下による利益率悪化」のほか、「労務管理の煩雑化」の回答率が全産業と比較して高かった。実態としてはコストアップに苦しむなか、労務負担が増え、業務効率の低下に悩む企業が増えている。TSRは「中小・零細の運送業の経営環境はいまだ厳しく、今後も倒産の増勢が続く可能性が高い」(情報本部)とみている。6月単月の道路貨物運送業の倒産は、件数が32件で前年同月と同じ水準になり、4カ月ぶりに増加が止まった。負債総額は26億8800万円(前年同月比14・8%減)と3カ月ぶりに前年同月を下回った。負債1億円以上5億円未満が10件(前年同月15件)と減少し、負債総額を押し下げた。 「人手不足」関連倒産は5件(前年同月5件)で、「人件費高騰」が2件(同2件)、「後継者難」(同1件)・「求人難」(同2件)・「従業員退職」(同ゼロ)が各1件だった。燃料費の高騰などによる「物価高」関連倒産は7件(同13件)、「新型コロナウイルス」関連倒産は9件(同11件)発生した。