トラック倒産 リーマン・ショック時に迫る
4―2月328件、23年度(317件)超え
帝国データバンク(TDB)は10日、2月の道路貨物(トラック)運送事業者の倒産(負債額1千万円以上/法的整理のみ対象)が20件(前年同月19件)となり、2024年度累計(4―2月の11カ月)では328件と、すでに23年度(317件)を超えたと発表した。「人手不足」「燃料価格の上昇」を背景として、このままのペースで推移すれば、24年度は360件前後の水準が見込まれ、リーマン・ショック時(2008年度)の371件に迫る、過去2番目の高水準となりそうだ。TDBによると、人手不足を要因とした倒産(人手不足倒産)は、24年度(11カ月累計/全業種)で判明した308件のうち、道路貨物運送業者は38件で全体の12・3%を占める。また、物価高を要因とした倒産(物価高倒産)は同841件のうち、道路貨物運送業者は116件で13・8%を占め、そのうち9割が、「燃料価格の上昇」を要因としていた。人手不足・物価高(燃料高)のダブルパンチが深刻化していることが分かる。燃料高は今年1月16日からのガソリン補助金縮小もあって、2月25日時点での軽油小売価格は164・0円と高い水準にあり、先行きとしては厳しい環境が続く。2008年度のリーマン・ショック時も現在も軽油価格の高騰によるコストアップと収益悪化は共通している。その一方で、当時は急速な景気減速を背景として荷動きの停滞が生じ受注難が発生していたが、現在ではアフターコロナでの消費回復もあって、一定の物流ニーズがありながらも、人手不足から受注が確保できていないという違いがある。さらに「2024年問題」が顕在化し、自動車運転従事者の有効求人倍率(25年1月)は2・76倍と全業種平均(1・29倍)を大きく上回るなど、道路貨物運送業界での人手不足感が顕著となっている。長期トレンドでみた労働人口減に加え、ドライバーの高齢化、人手不足が続く他業界との人材確保競争などもある。TDBでは、これらの課題解消に向けた賃上げなどのコストアップ要因も加わり「今後も道路貨物運送業の倒産は、高水準で推移する可能性が高い」(情報統括部)としている。トラック運送業者を取り巻く環境についてTDBでは、荷主と一体となった適正な運賃・料金そのものの引き上げ、再委託構造(下請け)の改善による価格転嫁率の上昇など、「抜本的な対策が待ったなしの状況」(情報統括部)とみている。