メニュープライシングで指針 製・配・販連携協
消費財で商品・物流費分離
食品、日用品関係の大手メーカー、卸、小売り53社で構成する製・配・販連携協議会が、商品価格と物流費を分離したメニュープライシングの検討状況を1日の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」(第7回)で説明した。物流サービスの高低に応じた価格体系の実現へガイドラインを作成し議論を進めていく。製・配・販連携協議会は国が策定した2040年を目標とするフィジカルインターネット・ロードマップのスーパーマーケットWGアクションプランに賛同宣言し、活動を進めている。メニュープライシングは重要項目ごとに設置する4つのWGの1つ「取引透明化に向けた商慣習検討WG」で取り組んでいる。一般に生産財は商品価格と物流費は分けて取引され、物流費が明確で物流効率化のインセンティブが働きやすいが、消費財流通は全国一律価格で消費者に提供できるよう商品価格に物流費を内包した店着価格制が一般的。拠点や担当者ごとに様ざまな納品形態が存在し、共同輸配送、共同拠点利用など物流効率化を妨げる一因ともなっている。 一方で工場から離れた地域では値段が高くなるような物流費を反映した価格は消費財流通では実現しにくい状況にある。そこで消費者価格を変えず物流効率化インセンティブを働かせるため、物流事業者に業務を委託する発荷主が取引において、基準となる物流サービス水準を明確化し、そこから物流サービスの高低に応じてコスト分を上下させるメニュープライシングの導入を提案した。発着荷主間で内容を合意、契約を取り交わすともに、発荷主と物流事業者間でも同様の業務委託契約を取り交わすことが考えられるとしている。改正貨物事業法の「標準的な運賃」において「運賃とは別に積込・取卸、附帯作業等については標準的な運賃には含まれないため別途収受する」と示され、これを前提に検討を進めている。
●基準となる物流サービスやその高低を整理
検討状況として、まず基準となる物流サービスの水準やその高低を規定する項目をまとめ、それぞれメーカー・卸間、卸・小売り間で内容を整理、参加各社の事例も踏まえ、効率化インセンティブとなりうる変数を検討しガイドラインを定める。WGのロードマップでは2024~27年に商取引における物流費明細提示の開始(協議会メンバー25年、メンバー外27年)としている。説明した協議会事務局の流通経済研究所によると「どこまでを物流コストに内包するかは企業の施策に関わり業界全体で出荷価格にする話ではない。1つの取引で物流サービスが違うのに価格が同じというのが問題であり、海外の事例も踏まえながら段階的に進めていきたい」としている。持続可能な物流検討会の中間取りまとめには「物流コストの可視化の検討」においてメニュープライシングの取り組みなど施策の検討を示している。