上限規制9割超遵守、全ト協24年問題調査
改正改善基準告示は7割
全日本トラック協会(坂本克己会長)が発表した、物流の2024年問題対応状況調査結果によると、時間外労働の上限規制(年960時間)について、64・4%が「全ドライバーが遵守できる」と回答、「大多数が遵守できる」の25・8%と合わせて9割超となる。改正改善基準告示の遵守状況では、約3割が「守れていない基準がある」とし、そのうち「1日の拘束時間」が約6割と最も多かった。インターネット調査により運送事業者(回答2973事業者24年11月~25年1月)、荷主企業(3601事業者、24年11月)に実施した。時間外労働の上限規制では、24年4~9月の6カ月間で、480時間超のドライバーは「いない」が72・6%だった。改正改善基準告示の遵守状況は70・1%が「守れている」と回答。守れていないと回答した事業者からは「1日の拘束時間」(59・3%)が最も多く、次いで「1日の休息期間」(42・0%)、「1カ月の拘束時間」(38・4%)、「運転時間」(36・4%)、「連続運転時間」(29・5%)と続いた。改正改善告示を守れない原因はグラフの通り。長距離輸送が最も多く、次いで荷待ち時間、荷役作業時間となっている。これら24年問題に関する荷主への説明では、「全ての荷主に説明」が46・6%、「半数以上の荷主に説明」28・0%と合わせて約75%を占める一方、「どの荷主にも説明していない」とする回答が8・5%あった。24年問題に対する影響は69・3%が「ある」と回答。このうち、良い影響では、「運賃・料金の引上げ」が68・5%と最も多く、次いで「労働時間・拘束時間の縮減」(45・8%)、「処遇改善のきっかけ」(36・4%)と、ドライバーの労働環境・労働条件の改善に関する内容が続く。悪い影響は、「運送コストが増加」(46・8%)、「ドライバーの採用が困難」(41・2%)、「車両の稼働が悪化」(39・6%)などとなっている。ドライバーの労働時間短縮等への対策では、「荷主等との交渉」が最も多く63・9%。次いで「高速道路の利用拡大」(50・5%)、「運行計画の見直し」(40・2%)、「労働条件・職場環境の見直し」(37・9%)。「必要なドライバー数を確保できている」は37・7%にとどまり、6割超が「不足」と回答。対応状況として、「求人情報の掲出等積極的な採用活動」が最も多く(63・8%)、協力会社への委託量増加や社内でカバーとの回答も3割超。「受注する仕事を減らした」とする回答も3割超あった。ドライバーの労働時間・拘束時間の変化について、1年前より「概ね短くなった」が56・8%と過半数を占めた。
●運賃水準、標準的運賃の7割以下が半数超
一方、運賃・料金の見直しに向けた発注者(荷主等)との交渉では「全ての発注者と交渉」(36・3%)、「半数以上の発注者と交渉」(36・4%)で7割以上。交渉結果は、「希望額どおりの荷主がある」は20・2%、「希望額ではないが引上げができた荷主がある」で74・1%だった。標準的運賃を「全て」・「半数以上」・「一部」の交渉で活用した合計は72・2%に上る。標準的運賃と比較した運賃水準はグラフの通り。標準的運賃の7割以下の水準が全体の半分以上(54.8%)を占める。一方、荷主企業への調査では、「物流効率化法を知っている」回答は全体の約6割。荷待ち・荷役時間の削減に「取り組んでいる」が約半数だが、「取り組む予定がない」が約3割となっている。ドライバーの荷待ち時間は約6割が「把握している」と回答。荷待ち時間の発生状況は「30分未満」が約3割、「30分から1時間未満」は約2割となっている。標準的運賃を知っている回答は全体の約6割だった。