事業所管省庁が指導、下請法改正

情報提供の保護規定も

公正取引委員会と中小企業庁は、下請法の見直しなどを議論する「企業取引研究会」の報告書を取りまとめた。荷主と運送事業者の取引も下請法の対象とし、事業所管省庁が問題のある行為について指導する権限を規定することとした。12月17日に行われた同研究会(第6回)で事務局が提示した。物流分野では、前回の下請法改正(2004年4月施行)で元請運送事業者と下請運送事業者の取引を対象としたが、発・着荷主間には通常、明示的な有償の運送契約等が結ばれないことから、発荷主から運送事業者への運送業務の委託は自家使用役務の委託取引と整理し、下請法の適用対象とはしなかった。一方で、上流の取引が公正化されない限り取引の全体的な公正化は困難とし、独占禁止法に基づく「物流特殊指定」を制定。独禁法上の問題につながるおそれのある行為(買いたたき、代金の減額、支払遅延など)がみられた荷主は近年高止まりしている。さらに運送事業者からは契約にない荷役や長時間の荷待ちなどの声も聞かれ、発荷主・運送事業者間の諸課題に関する下請法の取り扱いを検討した。
●迅速、効果的に問題行為を是正
研究会では委員の意見を踏まえ、「一般に発・着荷主間の契約で、発荷主が物品を指定場所に納品すべきことが取り決められる。これを受け、発荷主が運送事業者に運送業務を委託する構造は他の下請法の対象取引と同様」と位置付けた。また、長時間の荷待ちや契約にない荷役等の附帯業務の問題が生じている実態を踏まえ「より簡易な手続により、迅速かつ効果的に問題行為の是正を図ることが必要」とし、新たに下請法の対象取引にすべきとした。
●下請事業者が申告しやすい環境の確保
下請事業者が親事業者からの報復を恐れ、国土交通省のトラック・物流Gメンへの通知を躊躇する声も聞かれる。現行下請法では、公取委や中企庁に情報提供した事業者への保護規定(報復措置の禁止規定)はあるが、事業所管省庁に情報提供した者への保護規定はない。この点の見直しも検討した。現行法でも事業所管省庁は中企庁の措置請求のための調査権限を有するが、加えて下請法上問題のある行為について指導する権限を規定することが有益とした。併せて、下請事業者が申告しやすい環境の確保へ、報復措置の禁止の申告先として、現行の公取委、中企庁長官に加え、事業所管省庁の主務大臣の追加が必要とした。これにより、例えばトラック・物流Gメンに情報提供した者も保護の対象になる。