交渉改善も転嫁率低位、促進月間フォローアップ調査

コスト上昇影響が拡大

中小企業庁は、今年3月の価格交渉促進月間フォローアップ調査の結果をまとめた。価格交渉の「協議に応じでもらえた」割合は全体で63・4%と前回調査(昨年9月58・4%)を上回った。トラック運送業界における同割合も51・3%(45・5%)と上昇したが、コスト上昇分に対する価格転嫁率は全体47・6%(前回46・9%)、トラック19・4%(20・6%)と改善がみられなかった。交渉への意識は上向いているようだが、コスト上昇の影響が拡大している。下請中小事業者がコスト上昇分を取引価格に適切に反映されるよう、中企庁は3・9月を価格交渉促進月間とし、発注側企業に価格交渉に応じるよう促し、成果を確認するため、事後的にアンケートと下請けGメンによるフォローアップ調査を行っている。今回、受注側企業に送付したアンケート調査の回答数は1万7292社、回答から抽出される発注側企業数は延べ2万722社(トラック470社)となった。直近6カ月の価格交渉と価格転嫁の状況は表の通り。全体、トラック(発注側)とも交渉状況は改善したが転嫁率は低位。転嫁率の「価格改定なし」はコストが上昇していないためで、その割合が減少しておりコスト上昇の影響は拡大している。交渉状況でも「発注量減少や取引影響考慮」の割合が前回よりも増えた。全体の価格転嫁率は高い割合を転嫁できた回答が増加する一方、転嫁できない・減額された割合も増加し、二極化が進行している。コストの各要素別転嫁率は原材料48・2%、エネルギー35・0%、労務費37・4%。エネルギー、労務費は前回より各約5ポイントの上昇、原材料はほぼ横ばい。トラックの価格転嫁率は発注側で19・4%と前回(20・6%)より下げた。要素別では原材料17・9%、エネルギー19・4%、労務費18・2%。労務費は2・7ポイント上昇、原材料、エネルギーはほぼ横ばい。トラックの受注側転嫁率は21・1%で前回(18・6%)より改善も小幅。要素別では原材料費17・1%、エネルギー21・0%、労務費18・6%で、原材料4ポイント、エネルギー0・5ポイント、労務費3・2ポイント上昇した。全27業種を一定の採点基準でスコアリングした結果では、トラック運送業界は発注側として「価格交渉に応じた」26位(前回27位)、「価格転嫁に応じた」27位(前回27位)、受注側として「価格転嫁を要請して応じてもらえた」27位(前回22業種中22位)といずれも低位である。
●サポート窓口設置で後押し

西村康稔経済産業大臣は20日の会見で同結果に関し「トラックがこんな低い状況で価格転嫁ができないと物が運べなくなる。強気で交渉していただきたい。荷主側は是非認めていただきたい。運べなくなるわけで自分の首を絞める。今の状況を真摯に受け止め、価格交渉をしっかりと行っていただきたい」と求めた。中企庁では新たに下請中小企業による価格交渉を後押しする体制を整備し、全国のよろず支援拠点に「価格転嫁サポート窓口」を7月に設置するほか、発注側企業ごとの価格交渉・転嫁状況のリストの公表(8月以降)など措置を講じる。