価格転嫁の定着と賃上げを

中野国交大臣が坂本全ト協会長に要請

中野洋昌国土交通大臣は、トラック運送業界に対する価格転嫁と賃上げについて、全日本トラック協会の坂本克己会長に直接要請した。8日に要請文書を手交。トラック運送業界全体で適切な価格転嫁を定着させる構造的な価格転嫁の実現と、トラックドライバーの賃上げの流れを着実に広めるもの。中野大臣は冒頭、トラック・物流Gメンによる行政指導や、改正物流法の運用、下請法改正などを挙げ、「価格転嫁、賃上げは当然、荷主側に求めていく。一方でトラック運送業界の中でもまだまだ取り組めることがあるのではないか」とし、主に3点を要請した。1点目は下請法改正への十分な周知と自主的な対応。とくに元請事業者に対し、改正案の成立・施行を待たずに速やかな対応を促した。2点目は商慣習の見直し。元請をはじめ他の事業者に運送を委託する全てのトラック事業者に、多重下請構造において、実運送にかかるコストを見据えた対応を求めた。3点目は「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の趣旨を踏まえ、運賃収入の上昇分をトラックドライバーの給与引き上げに反映すること。中野大臣は「物流を持続的に発展させるには、エッセンシャルワーカーのトラックドライバーのさらなる賃上げが必要」とし、トラック運送業界全体での取り組みを求めた。全ト協からは坂本会長、杉山千尋副会長、馬渡雅敏副会長が出席。坂本会長は「平成30年の荷主対策の深度化、今回の改正物流法に続き、我々事業者もドライバーとともに、自らが改め、やるべきことをやる。トラック業界は世間の注目を集めており、頑張る」と発言し、さらなる価格転嫁、賃上げに取り組む姿勢を示した。3月14日に官邸で行われたトラックドライバー等との車座において、石破茂総理が「果敢な価格交渉と、確実な賃上げ」を要請している。今回の要請文書には、改正物流法に基づく取引適正化に関する取り組みを確実に実施するほか、業界内部での賃上げと荷主等への果敢な価格交渉を行うよう、とくに大臣が示した3点に留意し、傘下会員への周知を求めている。

中野大臣(左)と坂本会長(8日、大臣室)