健全化措置の適用拡大、多重下請構造検討会
3つの観点から論点整理
国土交通省は5日に開いた「第3回トラック運送業における多重下請構造検討会」で、取りまとめに向けた論点整理を示した。①上流を起源とする規律ある取引環境の形成、②下流における浄化作用の強化、③上下流をつなぐ取引ルートの拡 大――の3つの観点で整理。取引ルートの拡大ではマッチングサービスのほか、事業協同組合による共同受注や、複数の荷主・元請事業者の主導で運営する仕組みを例示した。
①の論点では、元請事業者の役割を明確化し、実運送事業者が適正運賃を収受できる措置や、トラック運送事業者のみに課せられる多重構造の改善を目的とした規制的措置(書面交付義務、健全化措置実施義務等)を利用運送事業者等にも適用拡大する方向を示した。健全化措置は、4月施行の改正物流法において、元請事業者に対し、利用する運送に要する概算額を把握した上で利用運送を申し込み、荷主が提示する運賃・料金が概算額を下回る場合、荷主に価格交渉を行ことや、利用運送の総回数を制限する条件を付するなど努力義務化している。②の論点は、安価で条件の悪い仕事を引き受け、適正な競争を阻害する状況を、国の監査のほか、より効果を発揮する手法について、違法白トラ問題や荷主ほか発注側の違法意識の醸成も含め対策を検討する。③の取引ルートの拡大では、インターネットを介したマッチングサイトはスポットが中心だが、定常的な仕組みへの活用や、一定以上の再委託の禁止、不当に低い運賃での契約防止などルールづくりの方向性を示した。
●協同組合の共同受注を例示
さらに事業協同組合と荷主等との連携で運営される仕組みを挙げ、日運茨城事業協同組合(20社)とロジスティードが共同配車で様ざまな荷主からの運送依頼に対応して多重構造を防止、波動の組み合わせで車両稼働を平準化する事例を示した。また、複数荷主・元請事業者の主導で運営する仕組みについて、国交省が配送実績データを活用した荷主間提携の効果実証事業を行う予定。複数荷主の運行を組み合せ、複数運送事業者のリソースとマッチングし、効果を定量的に試算する。委員からは、「適正運賃の水準よりも次数制限の考えを示す」ことや、下流の浄化作用では「適正化事業のブラッシュアップ」への期待が、マッチンングサイトでは「実運送事業者がしっかり入り込める」措置など意見が聞かれた。