共同輸配送のオープンPF、ヤマトHDが新会社

幹線輸送25年度1日80便

ヤマトホールディングス(長尾裕社長)は21日、荷主や物流事業者をつなぐ共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する新会社を設立したと発表した。 地域の複数の物流網を集約し、標準パレットによる混載輸送、中継輸送、定時運行を行う。今年度中に事業を開始し、東京・大阪・名古屋間で1日40線便、2025年度末で80線便を目指す。企業間の垣根を超えた共同輸配送による物流効率化に向け、荷主や物流事業者など多様なステークホルダーが参画できる。ヤマトグループが宅急便で培った約160万社の法人顧客、4000社以上の物流事業者とのパートナーシップ、 輸配送ネットワーク・オペレーション構築のノウハウを生かす。100%出資によるサステナブルシェアードトランスポート(SST)を同日付で設立した。今年度中にも第三者割当増資を行い、荷主や物流事業者に限らず、幅広く出資を募り、公益性の高いオープンプラットフォームを構築する。
同日の記者会見でヤマト運輸の福田靖執行役員グリーンイノベーション開発サステナビリティ推進統括は「特定の物流、荷主の取り組みではなく、あらゆる商流、物流が一体となり、サステナブルなサプライチェーンの商習慣を変えていく」との考えを示した。新会社SSTの社長に就任した髙野茂幸ヤマト運輸グリーン物流事業推進部長は「宅配便はかなり標準化、統一化が進んでおり、そのノウハウを活かしパートナーとともに新しい物流の在り方を追求していく」と述べた。4月から1部の荷主と取り組み、ヤマトグループの京都、厚木、中継で浜松のターミナルを拠点に実証を始めている。
積載率70%以上を
プラットフォーム上で荷主企業の出荷計画・荷姿・荷物量などの情報と、 物流事業者の運行計画などの情報をつなぎ、 マッチングする。輸配送はヤマトグループに限らず、リソース情報を登録した物流事業者が担う。基盤システムは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「物流・商流データ基盤」 を構築した富士通と共同で構築を進めており、24年冬頃から本格展開する予定。 同業他社からの閲覧や外部からのアクセス制限などで安心・安全で円滑な共同輸配送を実現する。地域の物流事業者は幹線輸送を新会社が行うことで、域内配送で効率的に複数社の集荷を担い、積載率、稼働率を向上させ地域内での持続可能な物流を構築する。標準パレットの使用や定時運行、セミトレーラーやダブル連結トラックなど高積載車両の活用で、40%とされる積載率は70%以上を目指す。さらに中継拠点を介することでドライバーの負担を軽減する。想定される効果として、25年度末で省人化率65・1%(1荷物あたり労力)、GHG排出量で42・2%の削減を試算した。