再エネ電力地産地消実現、ヤマト運輸
川崎市の脱炭素先行地域で
ヤマト運輸(長尾裕社長)は、川崎市(福田紀彦市長)、川崎未来エナジー(井田淳社長)と連携し、川崎市の脱炭素先行地域で再生可能エネルギー由来電力の地産地消を開始した。16日から高津千年営業所(川崎市高津区)で川崎未来エナジーからの電力供給を受け、再エネ電力100%使用の営業所として稼働した。ヤマト運輸の営業所では証書による再エネ100%使用の営業所はあるが、地産地消による再エネ100%は初めて。川崎市は国の 「脱炭素先行地域」に選定され、高津区で集中的に取り組むため、ヤマト運輸ほか民間企業と 「脱炭素アクションみぞのくち」を推進。市などが出資した川崎未来エナジーは、家庭から排出されるごみの焼却で生み出される電力を調達し、公共施設に供給するが、民間企業への調達は今回が初めて。ヤマト運輸はEVや太陽光発電設備の導入などを進める中で、複数台のEVを運用する物流施設では、 夜間の一斉充電で電力コストの増加や太陽光だけではEVや営業所の電力を賄えないこと、発電量が天候に左右されるなどの課題があった。高津千年営業所は太陽光発電設備(45KW)、蓄電池(61KWh)を設置、EV25台が稼働する。太陽光で建屋の26%の電力を補っていたが、今回の取り組みで100%再エネとなった。また、同社独自開発のエネルギーマネジメントシステム(EMS)で電力使用量、発電量などリアルタイムで可視化・自動調整し電力コストも大幅に削減できるとしている。川崎市内には30営業所があり、今回と同様な地産地消100%再エネを複数個所検討する。鈴木浩治川崎主管支店長は「市民の皆さまから始まり還元される再エネ電力の循環モデルで、生活に大事な物流の過程で使われる画期的な取り組み。宅急便で人々と接点があるが、集配だけでなく、市民の脱炭素への意識、行動変容にも繋げたい」と意欲を示す。川崎市の福田紀彦市長は「市民への見える化が重要で、運輸部門での取り組みは意義深い。市民が理解しそのサービスを利用する好循環にしたい」と期待を寄せる。