増収営業増益6割
上場物流企業64社4-6月決算
上場物流企業の4-6月期決算が出揃った。資源価格の上昇、円安傾向に国内景気も回復の見通しが不透明な状況の中、多くが増収増益を確保した。しかし先行き事業環境は慎重に見ており通期予想の上方修正は少ない。本紙調査によると、2023年3月期第1四半期(4-6月)決算を公表した上場物流企業64社中、売上高では58社が増収、うち26社が2ケタ増収だった。営業利益ベースでは64社中41社が増益、うち27社が2ケタ増益。増収増益は39社と全体の6割を占め、うち17社が2ケタ増収増益だった。前年同期も輸送量回復の反動増があり64社(対象企業は一致しない)中55社が増収、53社が営業増益だったが、経済活動の正常化の動きが進み物量が堅調に推移。海上運賃高騰も続き、円安を受けて、国際物流が売上・利益に大きく寄与したところがとくに大幅な伸びを示した。半導体不足など一部取扱い減少の影響もあるが、ECや食料品、日用品関連の伸びは継続しこれら旺盛な需要を取り込んだところも好調な業績をあげた。資源価格高騰などコスト増による営業原価増加、増収に伴う人件費、外注費など経費増も、増収効果により3分の2の企業が営業増益を確保。コスト圧力が強まる中で適正運賃収受、さらに業務改革、生産性向上への取り組みが奏功した。一方で足元は燃料価格の高止まりに感染拡大の影響、物価上昇による消費動向の動きも下振れ要因になる懸念があるほか国際情勢の動きも不透明で業績予想は慎重である。通期予想では三井倉庫HD、三菱倉庫、日新が売上高、利益ともに上方修正したが、全体には事業環境を厳しく見ている。