多重下請の実態把握、検討会が初会合

全ト協が提言報告

国土交通省は「トラック運送業における多重下請構造検討会」を設置、23日に初会合を開いた。国は新たな標準的運賃で「下請け手数料」を設定し、トラックGメンによる是正指導の徹底や、今般の改正物流法では契約内容の書面化、実運送体制管理簿による下請構造の可視化など、実運送事業者が適正運賃を収受できるよう取引環境の適正化を進めている。一方で下請構造には、トラック運送事業者以外にも様ざまな事業者が介在しており、実態を把握、必要な対策を検討する。初会合では冒頭にあいさつした鶴田浩久物流・自動車局長が「多重下請構造はさらに検討を深めることが衆参附帯決議でなされており、実効性のある施策へ知見をいただきたい」と求めた。委員は野尻俊明流通経済大学名誉教授、矢野裕児流通経済大学教授、首藤若菜立教大学教授、若林亜理砂駒澤大学法科大学院教授の学識者4人。全日本トラック協会など関係団体や労働組合、関係省庁がオブザーバーとして参加する。座長の野尻委員は「今まで思いきって切り込むことが難しかった問題。調査をしっかり行い実態を把握、検討していく」と述べた。全ト協が2次下請まで制限すべきとした「多重下請構造のあり方検討会」においてとりまとめた提言を報告。その後、事務局が実態調査の進め方を説明した。昨春実施したアンケート調査では、7割超の事業者が下請けのトラック事業者を利用し、25%の事業者がトラックを持たない第一種利用運送事業者を利用する。ともに約3割が請負金額の90%未満で委託している。一方で8割の事業者が他社から運送依頼を受け、第一種利用運送事業者から受託する運賃水準は約5割が元請の90%未満と回答している。検討会では多重下請け構造に介在する事業者を「第一種利用運送」のほか、規制対象外の「運送取次」や、「媒体」、「情報提供」に分類し、調査、検討を進めていく。第一種利用運送は全事業者を対象にアンケートを行い、大手マッチングサイト複数社へのヒアリング、個別事例の調査も実施。受託料・手数料の設定根拠など把握する。年内にフィードバック、論点整理し、来年2月以降最終とりまとめに向け検討する。

初会合の様子