大型車の車輪脱落事故防止へ検討会

実証実験など秋取りまとめ

大型車の車輪脱落事故が増加していることを受け、国土交通省は事故防止対策をさらに進めるために検討会を設置、事故実態調査・ヒアリング、実証実験などを行い、秋頃までに内容を取りまとめる。白ナンバーも含め広く周知徹底を図る。大型車の車輪脱落事故は2020年度に統計調査以来最多の131件が発生した。国交省では関係機関と連携し、タイヤ交換作業の徹底に係る周知・啓発活動や、街頭検査でホイール・ナットの緩みの確認を行うなど各種事故防止対策に取り組んでいるが、事故は引き続き発生している。21年度は1月末までに107件(速報値、20年度は同月末までに113件)の報告を受けている。このため業界関係者による「大型車の車輪脱落事故防止対策に係る調査・分析検討会」(伊藤伸一郎座長=自動車技術総合機構交通安全環境研究所)を設置、24日に初会合を開いた。「自動車の点検及び整備に関する手引き」には大型車のタイヤ脱着時のホイール・ナットの点検・整備方法を規定するが、最近の事故では適切に点検・整備されていない事案がみられるほか左後輪タイヤの脱落割合が高い。これらを踏まえ、検討会では大型車の車輪脱落事故の調査分析、タイヤ交換作業などの実態調査、海外の発生状況調査、防止対策について議論する。実態調査はタイヤ専業店、自動車整備事業者、運送事業者各20-30社に作業者へのヒアリングを行うとともに、運送事業者にはタイヤの保安管理状況に関する事業者へのヒアリングも行う。実証実験は使用過程のホイール・ボルト、ナットを回収し、どの程度の絞め付け力を確保できるか、円滑にまわるかなど性能を確認する。初会合では事故発生状況と、各団体含め直近の事故防止対策などを説明、意見交換した。冒頭に挨拶した野津真生自動車局次長は「1月に群馬県渋川市でダンプカーから外れたタイヤが歩行者にあたる人身事故が発生し、メディアも大きく取り上げた。大事故につながりかねない危険性があり、強い危機感を持つ。さらなる調査を進めていく」と述べた。1月の事故は白ナンバー事業者で、国交省は白ナンバー関係にも事故防止へアプローチを行っており、広く、より効果的な周知策についても検討していく。