川上段階でルール作り、多重下請構造検討会

実態調査踏まえ方向性

国土交通省は11月28日の第2回「トラック運送業における多重下請構造検討会」で、実態調査を踏まえ、「利用運送事業者」、「マッチングサービスの活用」、「トラック運送事業者と他の運送事業者間の利用」、「他の運送事業者を利用する際の手数料」などについて今後の議論の方向性を示した。運送事業者間では元請事業者など川上段階でのルール作りや与信チェックのあり方を重要論点に上げた。第一種貨物利用運送事業者へのアンケート(回答1094者)と、関係事業者へのヒアリング(マッチングサービス5者、一般貨物24者、利用運送専業4者)を行った。第一種利用運送は全登録事業者を対象に行い回答率は約4%に留まったが、「運送を依頼するトラック事業者は5社以内が過半数」、「荷主と元請間に介在する事業者の過半数が運賃と別建ての手数料を請求する一方、下位下請では運賃から差し引く事業者が70%以上」など傾向が見られた。議論の方向性として、同じ利用運送でもリスクの負い方や運送実現への関与度合いなど大きく異なり、「取引における実際上の役割に着目」すること、また依頼する運送事業者の候補が少ない(5社以内)ことが結果的に再委託を発生させる要因の1つととらえた。ヒアリングでは利用運送登録を受けていない取次事業者の存在や、マッチングサイトの利用、トラック運送事業者と他の運送事業者間の利用や手数料などを聞いた。取次事業者は運送会社や荷主に所属する傾向で「法規制や専業・兼業にとらわれず実質的に果たす役割に着目」し、、マッチングサービスは「広範囲なネットワークを持ち得る点に着目するとさらに貢献し得る余地がある」など活用を促す方向。
●再委託禁止ルールも
運送事業者間では「商慣行の抜本的な是正」とともに、元請が責任をもって手配できる範囲を超えて引き受けることが多重構造の発端とし、「元請事業者など川上段階でのルール作り、与信チェックのあり方」を重要論点に示した。ヒアリングでは「元請事業者から再委託を禁止されている」ルールも確認している。トラック運送事業者が他の運送事業者を利用する際の手数料は、「一般的相場は運賃の5~10%」で「最終的に実運送事業者に支払われる運賃水準をコントロールする作用は働いていない」こと、また、手数料を運賃とは別に上乗せして収受することは標準運送約款に明記されているが「未だ浸透していない状況の改善が必要」とした。事務局は「あるところだけでなく、全体的な対応策を打つ必要性があることが調査からも明らかになった」とし、委員の意見も踏まえ追加調査を行い、来年1月予定の次回会合でより具体的な論点整理を示す。