改善も企業規模間で濃淡、TDB5月景気動向
運輸・倉庫、販売単価DI3カ月連続最高更新
帝国データバンク(TDB)が5日発表した5月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・2ポイント増の43・2だった。消費の低迷は中小ほど厳しく企業規模間で濃淡が表れた。販売単価DIは3カ月連続で過去最高を更新、一定の価格転嫁は進捗する。一般貨物自動車運送業の景気DIは0・2ポイント増の40・6と微増ながら3カ月連続で改善した。全体の景気DIは前月比0・6ポイント減の43・5。個人消費の低迷やコスト負担の増加もあり2カ月連続で後退した。実質賃金の減少が続き、個人消費DIが大幅に悪化したほか、観光産業が低迷し、主要観光地を抱える地域が落ち込む一因となった。原材料価格の高止まりや人件費の高騰に加え、2024年問題への対応に伴うコスト負担増、不十分な価格転嫁なども下押し材料。今後の景気は、好悪それぞれの要因が表れるなかで、横ばい傾向で推移すると見込む。運輸・倉庫業の景気DIは3月からほぼ横ばい状況。自動車関係が動き大手を中心に物量が上向く一方、個人消費の低迷は規模の小さい事業者ほど影響を受けた。先行きは所得税減税など個人消費拡大へプラス材料の一方、自動車メーカーの不正による出荷停止の影響が懸念される。5月の運輸・倉庫業各指標をみると、売上DIが前月比2・9ポイント増の52・9と上昇した。販売単価DIは62・0(前月61・6)と3カ月連続で過去最高を更新。仕入単価DIは67・8(前月68・5)、雇用過不足DIは正社員63・4(前月63・8)、非正社員57・1(前月58・0)だった。物流関係者からは「取引価格の改定による増益」(普通倉庫)、「海外物件が増加」(運輸に付帯するサービス)の一方、「運賃の値上げが原油価格、車輌購入費、人件費などの上昇に追い付かず、働き方改革で売り上げも確保できていない」、「売り上げが上昇も、物価高でコスト負担が増加」(内航船舶貸渡)など利益面の厳しさも聞かれる。見通しも「4月の売り上げ交渉は上手くいったが、想定以上に人手不足と物価上昇がコストを上げている」(内航船舶貸渡)、「2024年問題で人件費が上がり負担が増加」(一般貨物自動車運送)など引き続きコスト増の懸念が大きい。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・7、6カ月後46・9、1年後47・3となっている。