施行5年で法的措置811件、荷主対策
トラックGメン発足1年、地方適正化機関と連携〝プッシュ型〟に厚み
貨物自動車運送事業法に基づく「荷主対策の深度化」が施行から5年が経過した。この間、6月末累計で811件の法的措置を実施。1年前に設置した「トラックGメン」、昨年11、12月の「集中監視月間」と監査体制を強化するが、長時間の荷待ちなど荷主の違反原因行為は後を絶たない。8月からは地方適正化事業実施機関と連携する新たな体制下、トラック事業者へのプッシュ型情報収集にも厚みを増す。2019年7月に施行された「荷主対策の深度化」は、荷主や元請けなど違反原因行為の疑いがあれば「働きかけ」、違反原因行為の相当な理由があれば「要請」、なお改善されない場合「勧告」し公表するもの。 6月末時点の運輸局別累計件数は表の通り。法的措置は本社に対して行うためとくに関東に集中しているようだ。違反原因行為では長時間の荷待ちが53%と最も多い。 「働きかけ」635件のうち、荷主は423件、元請は193件、その他(倉庫など)19件。「要請」174件では荷主88件、元請81件、その他5件で、荷主、元請の件数が近い。「勧告」は昨年の集中監視月間において王子マテリアとヤマト運輸に対して行った。月あたりの平均実施件数をみると、図のようにトラックGメンを設置した1年前からプッシュ型の情報収集を行い件数が増え、集中監視月間では「要請」を中心に一気に件数が拡大した。
●4-6月は「働きかけ」113件
直近の4-6月をみると、「勧告」、「要請」はなく、「働きかけ」のみで113件、うち荷主157件、元請35件、その他9件となる。集中監視月間後の1月以降、「勧告」、「要請」はない。国土交通省によると、「要請」すべきところは集中監視月間で一気に行っており、改善状況を確認しているところ。フォローアップを継続し改善が図られない場合は、さらなる法的措置の実施も含め厳正に対処するとしている。情報収集活動では国交省の「目安箱」のほか厚生労働省の荷主対策特別チーム、中小企業庁の下請けGメンなど関係省庁との連携、さらにプッシュ型の取り組みが広がっている。トラック事業者に対する電話調査や訪問調査、説明会やチラシの配布、荷主など物流拠点へのパトロール、トラックターミナル、SA・PAでのドライバーへのヒアリングなど、運輸局独自の施策もみられる。今後、地方適正化事業実施機関との連携では、選任された「適正化事業調査員」(仮称)が違反原因行為のある荷主等情報を通知することができる(8月1日施行予定)。情報に厚みを増し、トラックGメンの機能強化にもつながる。