日倉協、DXガイドライン策定
事前に解決課題の特定を
日本倉庫協会(久保高伸会長)は「倉庫事業者におけるDX導入推進ガイドライン」を策定した。物流DXの導入事例やアンケート調査結果などを盛り込みながら、物流DXの課題とその解決方法、倉庫業界の変化の方向性をまとめた。会員事業者に行ったアンケート調査(282社回答)によると、DXが必要と感じている企業は全体の6割以上を占める。「保管(在庫管理)」、「事務作業」のDXが比較的進む一方、それ以外の工程は十分に進まず、「入庫」、「検品」、「ピッキング」、「出荷」、「事務作業」は今後もDXを進めるべきとする回答割合が過半数を超えている。DXを推進する上での問題はとくに「推進体制不足(人的リソース不足)」、「知識・ノウハウ不足」と考える企業が多い。DXを進める際の得意先・協力会社との連携状況は4割強が「連携の要請なし」とし、2割が「図れていない」だった。DXを推進していると回答した企業(227社)の推進できた要因では「従来の業務プロセス、制度の見直し」が最も多い。一方、DXへ取り組んだ成果をみると半数以上は成果が期待を下回った、もしくは成果が見られなかったと回答している。成果の内容は「生産性の向上」が最も多く、次いで「データの透明性」、「コスト削減」だった。ガイドラインにはヒアリング(10社)による導入事例も掲載し、これらを踏まえ、DXによる成果の実現には事前に検討、検証しながら導入を進めることが肝要とし、「本当に解決しなければならない課題を特定」、「導入によりどのような効果が得られる(得たい)のかを理解」、「現場利用者の意見を聞き業務フローに合った導入」、「顧客への認知度が高い機器を優先的に検討」など解決方策の要点を整理した。また、DXを推進する企業では「可能なところから着手し半自動化を選択しながら柔軟な対応」や「貨物や荷主等を特定」など工夫が見られ、範囲特定例には「売上上位の貨物」、「高度に流通した貨物」、「特殊な貨物」を挙げている。日倉協では「生産性向上説明会」をはじめ各地のセミナーなどでガイドラインを説明、DX導入への支援を図っている。