時限措置延長が成立

標準的運賃、荷主対策、〝当分の間〟に

貨物自動車運送事業法の時限措置である「標準的な運賃の設置」、「荷主による違反原因行為の対処」(荷主対策の深度化)について、制度を延長する改正法が14日の参院本会議で可決、成立した。2024年3月末だった期限を〝当分の間〟と改めた。標準的な運賃と荷主対策の深度化は18年の法改正で創設。24年4月からのトラックドライバーの時間外労働の上限規制適用を見据え、24年3月までの時限措置となっていた。しかしコロナ感染症や原油価格高騰の影響を受け、トラック運送事業者の経営は一層厳しさを増し、荷待ち時間削減や適正運賃収受で労働条件を改善する取り組みは道半ばとし、制度を継続的に運用することが必要なため議員立法により今国会で改正案が審議された。標準的な運賃は国土交通省が2020年4月に告示。4月末で全事業者の55・8%が届出を行い、国交省の調査では76%の運送事業者が措置の延長を求めていた。なお政府が取りまとめた物流の政策パッケージでは、標準的な運賃について「荷待ち・荷役に係わる費用、燃料高騰分、下請けに発生する手数料等も含めて荷主に適正転嫁できるよう、標準運送約款も含め今年中に所要の見直しを図る」としており、次期通常国会での法制化も視野に抜本的措置を講じるとしている。
●荷主への「要請」は4件目
荷主対策では、違反原因行為を荷主がしている疑いがある場合に行う「働きかけ」を82件、相当な理由がある場合に行う「要請」を4件(5月末)行っている。これら荷主起因の違反原因行為では「長時間の荷待ち」が最多で43・2%、次いで「依頼になかった附帯業務」、「運賃・料金の不当な据え置き」、「過積載運行の要求」各12・2%、「無理な配送依頼」10・1%などとなっている。直近では5月に長時間の荷待ちで発荷主の製造業に対し要請(四国運輸局管内)を行った。「午前10時に受付し、5時間待たされ積込の連絡がきた」との申告内容を受けてヒアリングし、事実を確認。在庫管理見直しによる、積込箇所の削減・集約や積込時間の指定、明確化、パレット輸送の導入拡大、荷役・倉庫人員の増員など対策を実施することとしている。