標準的運賃届出6割に 東ト協連調査
原価把握がカギ
標準的な運賃の届出が加速している。東京都トラック運送事業協同組合連合会(東ト協連/石川一夫会長)が24日発表した「運賃動向に関するアンケート(1月)調査」のまとめによると、昨年7月調査時に4割だった届出の割合が6割に広がったことが分かった。調査のメーンテーマ、収受運賃料金については、依然「低い」が9割弱と大半を占め希望する運賃に届いていない。燃料高騰や人件費上昇といったコストアップ要因が強まっていることを背景に、中小事業者がいまできることの一つとして届出が進んでいるとみられる。調査は加盟する協同組合から無作為に200社を選定し、今年1月31日に実施。回答を得た168社(回収率84・0%)の内容をもとにまとめられた。168社のうち約7割にあたる116社の保有台数は30両以下の中小事業者だった。現行の運賃料金の収受状況では、「低い」(極めて低い、低い、少し低いの合計)の回答が88・3%とほぼ9割に達しており、近年この傾向が続く。取引先との運賃交渉がなかなか進展しない状況が垣間見られる。交渉が進められない原因の一つとして東ト協連が注目しているのが、「車両の原価(輸送コスト)把握しているか」の問い。約2割にあたる33社が「全く把握していない」の回答。45%は「一部車両を把握」というもので、運賃交渉において根拠となる原価計算ができていないことが進まない要因の一つと考えられる。このことは軽油価格の上昇分を別建て運賃として転嫁する「燃料サーチャージ」の導入でも表れており、6割を超える103社が「導入した事がない」と回答した。たとえば「導入していたが今はしていない」「検討中」と答えた事業者からの意見の一部には、「導入のルール作りが難しい」「交渉しても波長が合っていない」「荷主側の理解」といった意見が寄せられており、ここでも原価把握が不十分なことから前進が妨げられている部分もあるようだ。一方、前回調査から新設した標準的な運賃届出の有無では、13・7ポイント上昇し60・2%の100社が「届出した」と回答した。そして、届出予定を含めた129社のうち19社が「交渉」を行っており、その4割弱の7社が「認められた」と回答した。8社は「継続交渉中」で、「認められなかった」は4社。「認められた」事業者の意見では、「働き方改革の一環として荷待ち待機の是正を荷主に要望。ドライブレコーダーの数値を根拠に交渉し認めてもらい、付帯作業についても交渉中」と述べ、燃料サーチャージについては先行して導入していた。