燃料高騰にトラック不足
TDB8月景気動向、運輸・倉庫2カ月ぶり悪化
帝国データバンク(TDB)が発表した8月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・5ポイント減の37・3と2カ月ぶりに悪化した。トラック不足や燃料価格の高騰、人手不足やコロナ感染者増による出社制限などが下押し要因となった。全体の景気DIは前月比0・1ポイント増の41・4と2カ月ぶりに改善した。国内景気は順調な季節需要やデジタル関連需要の拡大など小幅ながら上向きへと転じた一方、燃料価格の高騰や人手不足の再燃が続くなか、感染者増による出社制限などは悪材料だった。また、食品を含む生活必需品の相次ぐ値上げは個人消費を引き続き下押しした。今後の景気は通常の状態に戻ろうとするなかで、下方圧力を内在しつつも概ね横ばい傾向で推移するとみる。運輸・倉庫業界のうち、調査対象の約6割を占める一般貨物自動車運送の景気DIは前月比0・2ポイント増の37・1と2カ月連続の改善だが小幅。運輸・倉庫業界の各指標は仕入単価DIが72・1(前月74・0)に下がったが依然として高水準である。販売単価DIは前月横ばいの54・7。雇用過不足DIは正社員60・7(前月60・9)、非正社員56・4(前月56・2)だった。貨物関係の事業者からは「上海ロックダウンの影響も一息つき、アジア発着貨物の回復が見え始めた」(沿海貨物海運)、「原材料値上げなどによる価格転嫁も顧客や依頼業者の理解もあり徐々に浸透し取扱量も増えてきた」(港湾運送)など物量は明るい声が聞かえる。一方で「車両注文から納車まで1年半から2年に伸びている。燃料高騰とアドブルー不足、ドライバー不足に加えコロナウイルスの陽性者が続出し仕事にならない」(一般貨物自動車運送)など下押し要因が重なる。見通しも「最低賃金の上昇、2024年問題など労働力不足と人件費の上昇がさらに深刻化する(同)と厳しい状況だ。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは3カ月後41・1、6カ月後43・0、1年後46・0となっている。