物流80社営業増益8割
3割が売上・利益上方修正
物流上場企業の2022年3月期第2四半期(4-9月)決算が出揃った。前年同期のコロナ感染症影響の反動による輸送量の回復もあり多くが増収増益を達成、とくに売り上げ上位の大手では計画を上振れし通期予想の上方修正も相次いだ。3月期決算の80社中62社が営業利益で増益・改善を示した。3月期決算80社中増収は68社、うち39社と全体の半数が2ケタ増収だった。減収企業も収益認識に関する会計基準適用の影響があり実質増収が多い。営業増益62社のうち50社が2ケタ増益だった。コロナ影響による荷動きの反動増に、生産性向上、コストコントロールによる収益改善策が引き続き成果を示した。とくに売り上げ上位の大手では国際貨物で輸送需要を取り込み、海上コンテナ・航空スペース不足による運賃上昇を背景に大幅に伸長した。通期売上高予想で近鉄エクスプレスの2500億円をはじめ、海運で日本郵船1500億円、商船三井1200億円、またSGホールディングスはロジスティクス事業を中心に1050億円それぞれ上方修正した。運賃高止まりの状況は下期も継続すると見る。国内では4-6月に続き企業間物流の復調、食品・日用品関係の堅調さ、EC市場の需要増が続いた。これら荷動きの回復に伴う人件費や経費増も物量の増加で増収増益基調となった。ヤマトヒールディングス、SGHDの宅配便数量はほぼ計画通りで、通年個数予想も据え置き。一方で、7-9月でみると、コロナ影響の反動やコスト合理化・生産性向上施策の一巡、また天候不順の影響も見られ、扱い品目により4-6月に対して伸び率が下がるところもみられる。半導体をはじめ原料不足に足元の原油価格高騰、さらにコロナ感染症第6波のリスクなども考慮し、上期上振れも通期予想は据え置きと慎重な姿勢も伺える。通期予想では80社中、24社が売上高、営業利益とも上方修正し、41社が予想を据え置いた。また6社が売上、利益を下方修正している。売り上げ上位の20社では11社が売上高・営業利益とも上方修正、据え置きは3社で引き続き大手の収益拡大が目につく。