発荷主、地域で輸送能力影響開き
検討会で労働時間規制による追加試算
11日に行われた第3回「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、労働時間規制による物流への影響について、NX総合研究所が追加試算を提示し、発荷主別、地域別で不足する輸送能力に開きがみられた。また、先月行った一般消費者への調査で、7割弱が物流危機へ問題意識を持つなど実態が示された。改善基準告示見直し案によるトラックドライバーの年拘束時間上限3300時間の場合、2019年度データから不足する輸送能力の割合は14・2%、不足する営業用トラックの輸送トン数4億トンとしている。前回会合で委員から要望のあった、発荷主別、地域別の状況を追加試算し、表のようにまとめた。厚生労働省の実態調査から3300時間超のドライバーの比率などから算出したもの。発荷主では農産・水産品が3割以上、地域では中国、九州が高い割合を占める。2030年までの物流需給ギャップ推計も新たに試算。ドライバー不足で30年には輸送能力の19・5%(5・4億トン)が不足と推計。2024年問題の影響と合わせて、輸送能力34・1%(9・4億トン)が不足する可能性があるとしている。
●7割弱が物流危機へ問題意識
一般消費者向けアンケート(5問、1000人まで)では「物流が危機的な状況に陥りつつある」ことを見聞きしたことがある人は全体の53・0%。うち、物流危機に問題意識を持つ人は全体の32・4%。さらに「2024年問題」を説明した後では全体の36・5%が問題意識を持つと回答した。残る3割強については伝え方の工夫が必要とし、事業者アンケート結果も踏まえ、今回のNX総研の試算数値も効果的に示すなど物流の広報強化を進めるとしている。検討会は国交省、経産省、農水省が連携し有識者、関係団体等の委員で構成、9月に立ち上げ年度内にも中間取りまとめを行う。11日の会合では事業者ヒアリングのほか、労働時間規制の影響、物流危機に対する消費者・荷主の理解、物流プロセスの課題など5つの論点整理を行い方向性を提示した。