荷主対策、省庁連携強化
「標準的な運賃」、厚労省の要請先にも周知
国土交通省は7月に「トラックGメン」を創設し荷主企業や元請事業者への監視を強化しているが、昨年12月に「荷主対策特別チーム」を発足した厚生労働省がトラックGメンの設置に伴い国交省との連携を強化する。荷主等への合同ヒアリングのほか、労働基準監督署の荷主への配慮要請の際、「標準的な運賃」の周知も併せて行うなど、労働条件の改善と取引適正化へさらに踏み込む。
国交省は、貨物自動車運送事業法に基づく荷主等への「働きかけ」、「要請」を行う中で、7月に本省・地方運輸局・運輸支局に設置したトラックGメンの成果が既に表れている。2019年7月の制度運用から9月末累計で「働きかけ」205件、「要請」9件に対し、実質2カ月稼働のトラックGメンで同120件、5件を実施している。10月からは厚労省はじめ関係省庁と連携して合同ヒアリングを開始したほか、11、12月を集中監視月間と位置づけ、悪質な荷主に対し、その状況に応じ「働きかけ」、「要請」、さらに「勧告・公表」といった措置を講じる。一方、厚労省は昨年12月に都道府県労働局に荷主特別対策チームを編成し、荷主特別対策担当官を中心にトラック運転者の長時間労働の是正へ、発着荷主等に長時間の荷待ちを発生させないなど配慮要請とその改善への働きかけを行っている。この配慮要請は8月末時点で7641件の荷主等に対し労基署が実施。長時間荷待ちの是正とともに運送業務の発注担当者への改善告示の周知も行っている。荷主の希望に応じて改善に係わる好事例を紹介する働きかけも実施。これらは監督署の運送事業者への通常の立入りや情報メール窓口からの情報によるもの。今般、トラックGメン発足に伴い、厚労省は情報メール窓口に寄せられた情報や労基署が監督指導時に把握した情報に加え、配慮要請を実施した荷主等の情報を広く国交省に提供するなど情報提供の運用を強化した。また、合同ヒアリングでは国交省の働きかけ等に荷主特別対策官も参加する。さらに労基署は発着荷主等への配慮要請の際、「標準的な運賃」の周知も行う。要請時に配布するリーフレットに「標準的な運賃」の趣旨に理解・協力を求める資料を追加した。「標準的な運賃」の荷主等への周知については関係省庁との連携も含め業界団体や特定業種などに対しては行われているものの、企業個々への直接的なアプローチは進んでいないのが実情だ。厚労省では「標準的な運賃」は取引適正化、ひいてはトラック運転者の労働条件の改善につながるものとし荷主への周知に注力していく。