荷主拠点への充電設備も目標値
非化石エネ転換判断基準案
国土交通省は、輸送事業者が非化石エネルギーへの転換に取り組む際の目安となる判断基準案を提示した。トラックは小型(8t以下)で2030年度までに保有台数の10%を電動車や非化石エネルギー動力源の車両に更新する。また、荷主への同判断基準案として、荷主拠点にも急速充電インフラを設置し、荷揚げ・荷下ろし中に充電を可能とすることでEV活用を後押しする方向を示した。5月の省エネ法改正(2023年4月施行)で、特定事業者等に対する非化石エネ転換に向けた取り組みが新たに求められることから、目安となる判断基準を年内にも取りまとめる。交通政策審議会交通体系分科会環境部会グリーン社会小委員会に検討会を8月に立ち上げ、11月30日の第3回会合で素案を示した。関係業界ヒアリング、意見交換に、特定輸送事業者へのアンケート(171社回答)を実施。目標設定では「一律でなく各社固有の事情を踏まえる」や「各種政府目標に沿うこと」が、非化石エネ転換に向けては「技術開発、供給インフラの整備等が必要」など共通意見として聞かれ、これらを踏まえて作成した。判断基準等に記載すべき事項には「非化石エネルギーの割合が増加する輸送方法の選択に関する事項」と「事業者の判断基準となるべき事項=①輸送に関わる非化石エネルギーへの転換目標、②目標達成へ計画的に取り組むべき措置」を示した。輸送方法の選択はモード別で示し、トラックは「代替燃料(バイオ燃料、合成燃料等)、EV、FCV、PHEV」としたほか、全モード共通に「荷主や他の輸送事業者等との連携で非化石エネルギーの割合が増加する輸送方法への転換」も追記、モーダルシフトやドローンの活用なども含まれる。転換目標について、トラックは小型で30年度までに保有台数の10%を電動車や非化石エネルギーを動力源とする車両へ更新する。これは全日本トラック協会の目標値(30年度新車販売25%を保有台数に換算)と同じ。大型トラック(8t超)は20年代をめどに電動車や非化石エネを動力源とする車両の導入を進め、30年度までに定量的な目安の設定を検討する旨、告示に記載するとした。計画的に取り組むべき措置には、電動車・代替燃料の導入とともに、これ向けた関係者(行政やメーカー、荷主等)との協力、調査・検討に。非化石電力の導入(非化石証書付き電力含む)も加えた。
●充電中に荷揚げ・荷下ろし可能に
一方、資源エネルギー庁主導で進める荷主に対する同判断基準案の検討とも連携する。特定荷主(前年度の貨物輸送量が3000万トンキロ以上の荷主)の野心的な転換目標の検討を促すため、政府が非化石エネ転換の目標の目安を提示、これを踏まえた2030年の目標設定・報告を求める素案を提示している。トラックはEV普及にあたって充電インフラの設置が不可欠であり、荷主拠点にも急速充電インフラを設置し、荷揚げ・荷下ろし中の充電を可能とすることでその活用を後押しすることが重要とし、30年度における「車両総重量8t以下の非化石エネルギー自動車の使用割合」と「エネルギー使用量に応じた急速充電器の設置口数」、双方の定量目標の設定する考え。