荷待ち・荷役時間横ばい、中央協議会で国交省調査
指針遵守状況は改善傾向
国土交通省の調査によると、トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間は11時間46分で、4年前の前回調査と比較し約40分減少した。運転時間が約50分減少した一方、荷待ち・荷役時間はほぼ横ばい。12月25日に開催した「第17回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」で報告した。調査は2024年9月19日から11月30日に実施(回答=2544運行)した。24年4~8月通常期の代表的な1日の運行で、①運転時間、②荷待ち時間、③荷役時間、④附帯作業時間、⑤点検・点呼に要した時間、⑤休憩時間を調査した。運転時間の減少は長距離輸送の減少が考えられる。荷待ち・荷役時間はほぼ横ばいで「物流革新に無得た政策パッケージ」で定めた目標値には到達していない。また、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」の遵守状況の調査も同時期に実施(回答=発荷主1007社、着荷主609社、物流事業者6885社)した。運送契約の書面化では、発荷主の「すべて対応済み」と「部分的に対応済み」の合計が78%と前回調査(24年2~3月)から6ポイント改善した。改正物流法の施行で4月から荷主・トラック事業者等に対し、運送契約を締結する際の書面交付が義務付けられる。荷役作業等に係る対価では発荷主の「すべて対応済み」と「部分的に対応済み」の合計も78%と前回調査から8ポイント改善。運賃と料金の別建て契約では発荷主の「すべて対応済み」と「部分的に対応済み」の合計は59%で、前回調査から10ポイント改善し、それぞれ対応が進んでいる傾向がみられた。
●協力関係が大前提
中央協議会であいさつした国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は今般の改正物流法に際し、「トラック運送業の担い手が夢や希望を持てることを荷主とも協力して行う。荷主、物流事業者、地域経済の三方良しの関係を目指すもの」とし、問題を乗り越えるには協力関係が大前提と求めた。国交省の調査では荷待ち・荷役時間の改善はみられなかった。座長の野尻俊明流通経済大学名誉教授は「荷待ち、荷役時間の削減は中央協議会の目的でもある」としさらなる取り組みを求めた。協議会では国交省のほか厚労省、公取委、中企庁、全ト協が取組状況を説明し、意見交換した。厚労省は労働基準監督署による荷主への配慮要請が、運用を始めた22年12月から24年11月時点で1万8256件実施し、荷主への要請を受けての改善事例を示した。全ト協では改正物流法の施行へ、周知のためのリーフレットを国交省と連名で作成したほか、改正内容の詳細を解説したパンフレットを年度内に作成する予定。また、国交省とともにブロック単位の説明会を年度内に行うほか、都道府県トラック協会との共催で会員事業者を対象に説明会を4月以降開催する予定。一般消費者も含めインターネット広告を活用した広報も行う。